最新記事

北朝鮮

北朝鮮の体制崩壊目指し新たな資本主義者育てる「秘密地下ルート」

2016年10月2日(日)16時42分

9月29日、核実験を強行した北朝鮮に対し、米国をはじめとする国々が新たな制裁措置を検討するなか、一部の脱北者は、未発達な同国市場経済に投資することで、内側からの体制変化を促すことが可能だと考えている。写真は中国遼寧省丹東市の土産店で北朝鮮紙幣として飾られたお札。11日撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)

 核実験を強行した北朝鮮に対し、米国をはじめとする国々が新たな制裁措置を検討するなか、一部の脱北者は、未発達な同国市場経済に投資することで、内側からの体制変化を促すことが可能だと考えている。

 韓国に住む脱北者の男性は、数十人の北朝鮮市民がラーメン店や食料品店といった零細事業を立ち上げる手助けをするため、秘密の資金経路を利用して数十万ドルを送金している。

 男性は昨年、北朝鮮の起業家3人に、電圧12ボルトの太陽光パネルで充電可能な中国製LED電気スタンドを3000台以上送った。2000年代初頭に中国経由で脱北したこの男性は、鍼灸針やハンドバック、毛髪染剤、ビタミン剤、女性用肌着類も、安価で購入もしくは寄付によって無料で入手し、北朝鮮に送っている。

 金正恩政権の下、北朝鮮は国内で増加する「ジャンマダン」と呼ばれる半合法的な自由市場を認めてきた。そこでは個人や卸売業者が自身で製造、または中国から輸入した物品を売買している。

 この市場は人々の生活水準を向上させただけでなく、旧ソビエト連邦型の計画経済に対する依存度を下げることで、国の影響力を弱めてきた。また、USBメモリーやDVDを使った、禁制品となっている海外メディアのコンテンツ取引も促進している。

「私が支援する北朝鮮の事業主らは、健全な資本主義を構築するための新しい集団となり得るだろう」と、この40代の脱北男性は語る。北朝鮮に残した妻と自身の安全のため、実名は明かさなかった。

 営利目的ではないとするこの男性は、地方にある食料品店数店に2万─3万人民元(約30万3000円─45万4000円)を投資しており、さらに多額の投資を平壌で行っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米フォード、大半の従業員に週4日出勤義務付け 9月

ワールド

独首相、トランプ氏に米の役割強化要請 ウクライナ紛

ビジネス

米5月の新築住宅販売13.7%減、予想下回る 在庫

ワールド

イラン革命防衛隊司令官、イスラエルの攻撃による負傷
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係・仕事で後悔しないために
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    人口世界一のインドに迫る少子高齢化の波、学校閉鎖…
  • 5
    「子どもが花嫁にされそうに...」ディズニーランド・…
  • 6
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 7
    都議選千代田区選挙区を制した「ユーチューバー」佐…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    細道しか歩かない...10歳ダックスの「こだわり散歩」…
  • 10
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 8
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中