最新記事

金融政策

黒田緩和「検証」で枠組み転換の思惑、マイナス金利見直しも

2016年7月30日(土)09時18分

新たな枠組みとは

 「検証」後に新たな枠組みが導入されるとすれば、どのような選択肢がありえるのかー─。

 白川氏が想定するのは、全く異なる金融市場調節方針の設定への移行。年間80兆円の保有国債の増加目標から、日銀保有国債の残高シェアにターゲットを変更する。

 現状では日銀保有国債は市場残高の3割を占めるが、これを少しずつ引き上げていく仕組みだ。また、金利目標だけに的を絞ることもあるとみている。

 同時に現行の2%の物価目標の柔軟化を図り、2%の物価水準あるいは達成期間の設定を取りやめる可能性もありえるとしている。

 ただ、物価上昇への効果があるのかといった点や、マイナス金利をどこまで深掘りできるのかなど、詳細を詰めて実際のアクションを検討するには、時間がかかりそうだと白川氏はみている。

 また、国債買入れが限界に近づいているとみられる中で、新たに国債に限らず政府保証債や地方債も買い入れる選択肢もささやかれる。

 しかし、そこに踏み込むことの問題点も指摘されている。東京大学大学院の福田慎一教授は「これらの資産は、国債と比べて流通市場での売買高が少なく、流動性が低い資産。このため日銀の買い入れで市場価格が国債以上にゆがむ可能性が高い。価格が上方に大きくゆがめば、仮に日銀がその時点の市場価格で購入しても、いわゆるヘリコプターマネーに近くなると言えるかもれいない」と指摘する。

 さらに「信用緩和政策」に踏み込む選択肢も指摘されている。SMBC日興証券・チーフエコノミストの丸山義正氏は、例えば社債の買い入れは、リーマンショック後の09年に企業の金融支援策として行われたが、今回は緩和強化の一環として実施される可能性があると見ている。

 ただ、こちらも買入額が巨額になれば、ヘリコプターマネーに近いと福田教授はみている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ、近く鉱業改革実行へ 暫定大統領が米内務

ワールド

ドイツ情報機関、ロシアが戦争の真の経済的コスト隠蔽

ワールド

中国、中東紛争仲介へ特使派遣 外相がサウジ・UAE

ワールド

中国、不動産市場安定化へ 住宅供給改善策講じる方針
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 2
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    「外国人が増え、犯罪は減った」という現実もあるの…
  • 6
    「イランはどこ?」2000人のアメリカ人が指差した場…
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウク…
  • 10
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 9
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 10
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中