アメリカの空港警備改革、ベルギーテロ後もなぜ加速しないのか
厳しい警備体制のモデルとして言及されることの多いイスラエルのベングリオン空港では、国家治安当局であるイスラエル公安庁による訓練を受けた民間警備会社が、警察官の監視の下、空港入り口で乗客の人物特定を行い、爆弾探知機を使い、旅行者を一人ずつ尋問している。
だが専門家によれば、こうした方法には限界もあり、空港内の別の場所にターゲットをシフトさせるだけに終わる可能性があるという。
「保安検査場をどこに置くとしても、悪い連中から見た標的を生み出してしまうし、それを根絶することは決してできない」とクロスビー氏は言う。「イスラエルのモデルはよく引き合いに出されるし、イラクの軍事基地のような造りになっている。しかしそれでも、依然として攻撃を受けている」
一方、既存の手段にも警備上の限界がある。
運輸保安局は、「手荷物の迅速検査を推進しようと取り組んでいるが、彼らだけの力では実現できない」と語るのは、元国土安全保障省職員で、現在は国土安全保障問題のコンサルタントを務めるジェームス・ノートン氏。「各空港が協議に加わらなければならないし、その体制を支えるインフラと財源があることを確認しなければならない」
そうなると、航空会社も関わってくる。通常は、空港予算の半分ないしそれ以上が航空各社の支払う空港利用料で賄われているからだ。クロスビー氏によれば、それゆえに航空各社は、空港の設備投資計画に対する事実上の拒否権を持っているという。
運輸保安局創設のきっかけとなった米同時多発攻撃「9.11」によって、セキュリティ問題に航空会社の関心が注がれた。だがクロスビー氏によれば、航空会社は依然として、米国の法律で求められる以上の支出には消極的だという。
航空各社は、セキュリティは優先事項だと強調している。
「航空史上、今が最も安全な時期だと言える理由の一つは、安全と警備に関しては、これで終わりということがないからだ」と、業界団体エアラインズ・フォー・アメリカは語る。「私たちは連邦政府や地方当局と継続的に協力し、乗客、乗員、航空機を守るためにできる限りの準備を整えている」
港湾委員会が、JFK空港の屋根の下に収まっている多くの機関と協力できないと考えるべき兆候はない。だが、地上の状況が混乱している可能性はある。
23日のJFK空港で、重武装の港湾当局職員らは、ロイターのカメラマンが路上の様子を撮影しても構わないと言った。だが、その数分後、民間の警備員はロイター記者に対し、ターミナルを出て外部の駐車場に向かえと命じたのである。
(Jeffrey Dastin記者、Joseph Ax記者、翻訳:エァクレーレン)





