最新記事

BRICs

新興国市場株の「隠れた原石」企業、十把一絡げに売られ割安に

2016年3月20日(日)19時58分

 同様にスズキ傘下の自動車大手マルチ・スズキと二輪車のヒーロー・モトコープはともに3割程度の増益を成し遂げたが、株価は2014、15年を通じて上昇していたため、上値が重い印象だ。

 このため「逆張り」投資家はトルコやブラジルなど、より低調な市場に大きな掘り出し物があると見ている。

連座制

 アカディアン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、デービッド・パーディ氏は、資金が雪崩を打って流出した際に低落したブラジルの資源・化学セクターに割安感があるかもしれない、と指摘。「ファンダメンタル的にはより健全であるにもかかわらず、『連座制』のようになった産業群がある」とし、その例としてパルプや紙を挙げた。

 これらの業種は資源セクターと同一視されるが、実際にはエネルギー使用量が多くコスト安の恩恵に預かっている。

 同様に、化学企業も石油生産業者であるかのようにして売られるが、本当は製品をつくるのに安い原油を利用できる立場にある。

 中南米最大の石油化学企業ブラスケムが2月に発表した四半期決算は、為替レートと原油安の恩恵により大幅な黒字となったが、株価は年初から約5%下落している。

 トルコはブラジルほど悲惨な経済状況ではないが、安全保障上の懸念から投資家はインドほどオーバーウェートにしてこなかった。このため一部の銘柄は、好業績が株価上昇に反映されやすくなっている。

 自動車のトファスは2015年に45%の増益を記録し、株価は年初から約9%上昇。家電のアルセリックは44%の増益を上げて株価は同30%値上がりした。

 一方、シャルルマーニュ・キャピタルのジュリアン・メイヨ最高投資責任者は、トルコリラが対ドルで昨年25%下がってコモディティの輸入価格を押し上げたため、原油安の恩恵がトルコ企業に浸透するにはしばらく時間が掛かるとの見方を示した。

 (Claire Milhench記者)

 

[ロンドン 16日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナ支援の有志国会合開催、安全の保証を協議

ワールド

中朝首脳が会談、戦略的な意思疎通を強化

ビジネス

デジタルユーロ、大規模な混乱に備え必要=チポローネ

ビジネス

スウェーデン、食品の付加価値税を半減へ 景気刺激へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中