最新記事

BRICs

新興国市場株の「隠れた原石」企業、十把一絡げに売られ割安に

「逆張り」投資家はトルコやブラジルなど、低調な市場に大きな掘り出し物を探す

2016年3月20日(日)19時58分

3月16日、インド、ブラジル、トルコなどの新興国にはコモディティ価格の下落によって恩恵を受ける業種も少なくないが、新興国市場全体の低迷につられて株価が下落し、割安感が生じている場合が多い。写真はムンバイで2月撮影(2016年 ロイター/Shailesh Andrade)

 インド、ブラジル、トルコなどの新興国にはコモディティ価格の下落によって恩恵を受ける業種も少なくないが、新興国市場全体の低迷につられて株価が下落し、割安感が生じている場合が多い。

 新興国株は5年連続で先進国株に比べてアンダーパフォームしているため、投資家はこうした「隠れた原石」も十把一絡げに売ってしまう傾向が強いのかもしれない。

 ここ数カ月、新興国市場株はエネルギー価格と足並みをそろえて動く傾向にある。石油価格が急落すれば売り込まれ、少し上がれば少し反発するといった具合だ。しかしMSCIの新興国株式指数<.MSCIEF>を構成する企業の株式時価総額で見ると、4分の3はコモディティ輸入国に属している。

 投資家は良い企業も悪い企業と一緒に売ってしまう。EPFRグローバルのデータによると、3月9日までの1年間に新興国株式ファンドから差し引き75億ドルが流出した。

 BNPパリバ・インベストメント・パートナーズの新興国市場ストラテジー統括、パトリック・マンジュ氏は「業績の良い企業であっても、資金流出やリスクオフの影響を免れない」と語る。

 航空、自動車、白物家電などエネルギー安の恩恵が最も大きいセクターは30─40%の増益を記録しているにもかかわらず、株価動向はまだら模様といったところ。好業績を発表した直後には上昇するが、新興国市場全体が下がると上昇を維持できなくなる傾向がある。

モディ改革への期待

 こうした中でもインド株はモディ政権の改革への期待に支えられ、既に数年ぶりの高値で推移しているため、上昇余地が限られそうだ。

 例えば大手航空会社ジェット・エアウェイズは四半期決算で過去最高益を発表した後に急上昇したが、1月につけた5年ぶり高値を下回る水準で推移している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

豪GDP、第2四半期は前年比+1.8%に加速 約2

ビジネス

午前の日経平均は反落、連休明けの米株安引き継ぐ 円

ワールド

スウェーデンのクラーナ、米IPOで最大12億700

ワールド

西側国家のパレスチナ国家承認、「2国家解決」に道=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 10
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中