最新記事

欧州難民危機

EU、不法移民規制でトルコと合意

3月20日以降トルコからギリシャに渡ってきた不法移民は全員強制送還へ

2016年3月19日(土)14時35分

3月18日、EUはブリュッセルでトルコのダウトオール首相と首脳会議を開き、欧州に流入する不法移民の規制で合意した。難民や移民の多くが利用する、トルコからギリシャに渡るルートの遮断が目的だが、合法なのか、また実際に運用が可能なのか、状況は不透明なままだ。写真はブリュッセルで昨年10月撮影(2016年 ロイター/Francois Lenoir)

 欧州連合(EU)は18日、ブリュッセルでトルコのダウトオール首相と首脳会議を開き、欧州に流入する不法移民の規制で合意した。難民や移民の多くが利用する、トルコからギリシャに渡るルートの遮断が目的だが、法律的に合法なのか、また実際に運用が可能なのか、疑問の声も根強く、状況は不透明なままだ。

 チェコのソボトカ首相はツイッター上で「トルコとの合意が承認された。トルコからギリシャに渡る不法移民は3月20日以降、全員送還される」と述べた。トゥスクEU大統領もトルコと全会一致で合意したことを確認した。

 今回の合意を踏まえ、トルコはギリシャに不法に到着したシリア人を含む難民や移民全員の送還を受け入れる。代わりにEUはシリア難民数千人をトルコから直接受け入れるほか、トルコへの支援金も拡大させる。

 20日以降ギリシャに到着した移民は、登録が完了し、個別の難民申請手続きが開始した時点でトルコへの送還対象となる。送還は4月4日から実施され、シリア難民の再定住も同時に開始される。

 EUは、トルコに滞在する難民への支援金30億ユーロの支払いを加速させるとともに、2018年までに支援金を倍に増やすことでも合意した。

 こうしたなか、メルケル独首相は今回の合意について「法律上、乗り越えなければならない大きな課題があり、さらなる後退は避けれられないと思う」と述べた。

   

[ブリュッセル 18日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米「夏のブラックフライデー」、オンライン売上高が3

ワールド

オーストラリア、いかなる紛争にも事前に軍派遣の約束

ワールド

イラン外相、IAEAとの協力に前向き 査察には慎重

ワールド

金総書記がロシア外相と会談、ウクライナ紛争巡り全面
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 3
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打って出たときの顛末
  • 4
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画…
  • 8
    【クイズ】未踏峰(誰も登ったことがない山)の中で…
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中