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【2016米大統領選】最新現地リポート

トランプ対抗馬2人の明暗が分かれた、フロリダとオハイオ

地元フロリダで大敗して選挙戦から撤退したルビオと、地元知事の意地を見せてオハイオで勝利したケーシック

2016年3月16日(水)16時20分
冷泉彰彦(在米ジャーナリスト)

無念の撤退 地元フロリダ州で大敗を喫したルビオは選挙戦からの撤退を表明した Carlo Allegri-REUTERS

 予備選中盤の大きなヤマ場となった今週15日――とりわけ共和党ではフロリダ州(代議員数99)とオハイオ州(同66)の予備選が「天王山」と言われていた。何より、共和党だけのルールだが、この両州以降、多くの州で予備選のルールが「勝者総取り」に変わるからだ。

 もし両州でドナルド・トランプ候補が勝利して彼だけが「代議員数165」を確保して他はゼロということになれば、トランプの過半数獲得に向けて大きく弾みがつくことになる。そんな中で、フロリダでは地元選出のマルコ・ルビオ候補(上院議員)が1位を狙い、オハイオでは地元知事であるジョン・ケーシック候補が同じく1位を狙って、それぞれに「トランプの総取り」にストップをかけようとしていた。

 その結果は、明暗が分かれた。ルビオは、トランプ候補に20%近い差を付けられて敗北、トランプに代議員数99の「総取り」を許すと共に、選挙戦の軸となるべき地元での惨敗という結果を受けて、選挙戦からの撤退を表明することになった。

 一方オハイオでは、ケーシックが1位となって、代議員数66を「総取り」してトランプに「ブレーキ」をかけると同時に、「最後の保守本流候補」として以降の選挙戦に望みをつないだ。

 ルビオの敗因は、前にも述べたように「トランプの挑発に乗って品性のない中傷合戦に巻き込まれた」ことだが、そのような迷走全体が「頼りなさ」として受け止められたことが大きい。これに加えて、主張そのものが迷走したことも、根本的なミスだった。

【参考記事】トランプとの「お下劣舌戦」で撃沈したルビオ

 当初はジェブ・ブッシュ候補を推していた「共和党の保守本流」が、ジェブの低迷を見て急遽ルビオを「保守本流の希望」として期待を寄せた時期がある。ルビオ自身も、その時は、胸を張って「いかにも保守本流」らしい態度で演説をしていたのだが、ここへ来て地元での選挙が苦戦になると「自分はティーパーティー出身のチャレンジャー」という言い方に変わっていた。そんな態度の変節も、有権者に見放された原因だろう。

 反対にケーシックは、いくら「地元の人気知事」だとは言え、「トランプ旋風」の吹き荒れる中で、この時期に1位を獲得した意義は大きい。共和党の本流の中には、このままケーシックがペンシルベニア、ニューヨーク、カリフォルニアなどをおさえていけば、1位にはならなくても「トランプの過半数阻止」を実現する重要なコマになるという期待も出てきている。

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