最新記事

テロ

息子をISISの自爆テロに差し出すブラックな父

自爆テロに送り込まれる少年や若者が急増している。親もそれを後押し?

2016年2月23日(火)16時12分
ジャック・ムーア

地獄の業火 これから自爆テロを決行する息子を抱きしめる父親(ISISのプロパガンダ映像より) ISIS MEDIA

 ISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)は、シリア北部の都市アレッポ郊外で、ISISの父親が12歳前後と見られる息子を自爆テロに送り出す様子を収めたプロパガンダ動画を公開した。

 23分間の動画は、ISISが2月19日に配信したもの。そのなかで父は、息子のアブ・イマール・アルオマリから、殉教のための作戦や、自動車を使った自爆テロ訓練の内容を確認している。動画には、ISISの兵士がアルオマリに車の運転と爆弾を起爆する方法を教える映像も入っている。

 映像は、アルオマリがアレッポでシリア政府軍に対して自爆テロを実行したことを示唆する遠目の場面で終了する。

「この自爆テロが、ぼくの最高の瞬間になることを願っている」と少年は事前にカメラに向かって語りかけ、自爆テロを実行するのは父親に説得されからだと述べる。

 タイムズ・オブ・イスラエル紙に引用されている翻訳によると、父は息子の今回の任務についてこう語っているという。「息子の幸福を案じる父親は、地獄の業火から我が身を救うことを許さない」

ISIS支配下で民間人犠牲者1万9000人の地獄、国連報告書

今年死んだ子供は少なくとも21人

 米陸軍士官学校(ウエストポイント)のテロ対策センター(CTC)は2月18日、ISISは「前例のない勢いで次々に子供や若者を投入している」とする内容の報告書を発表した。

 報告書によると、ISISの指導者たちは、少年たちを長期的な視野で大人の戦闘員に育てるという。ただし、逃亡しかねない少年の場合は、「更生と再教育が急務」になる場合もあるという。

 CTCによると、2015年1~7月にかけて、ISISは少なくとも21人の子供に自爆テロをさせた。

ISIS信奉者が「仲間に入れ」とミス・イラクを脅迫

 ISISはプロパガンダ映像のなかで、スパイとして捕まった人質の処刑にも子供を使ってきた。2014年にイラクからシリアにかけての地域を「カリフ(ムハンマドの後継者)の国)」と宣言したISISは、これらの子供たちを「カリフの子」と呼んでいる。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

核保有国の軍拡で世界は新たな脅威の時代に、国際平和

ワールド

米政権、スペースXとの契約見直し トランプ・マスク

ワールド

インド機墜落事故、米当局が現地調査 遺体身元確認作

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、円安で買い優勢 前週末の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中