最新記事

イラク

ISIS信奉者が「仲間に入れ」とミス・イラクを脅迫

イラクでは実に43年ぶりのミス・コンテストの開催も宗教保守派の脅迫で延期されていた

2015年12月25日(金)13時53分
ジャック・ムーア

20歳の決意 ミス・イラクの栄冠に輝いたシャイマ・カシムは脅迫には屈しないと語った Ahmed Saad-REUTERS

 テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)の信奉者が、「ミス・イラク」に選ばれた女性に対して、「仲間に加わらなければ誘拐する」と脅迫していることがわかった。イスラエルの新聞エルサレム・ポストが報じた。

 先週、1972年以来43年ぶりにイラクで開催されたミス・コンテストで優勝したシャイマ・カシム(20)は、受賞後に電話で脅迫を受けた。カシムは「脅迫は恐ろしいが、どのような妨害があっても前進する」と語っている。

 カシムは、イラクのクルド系住民にとっては歴史的な首都にあたるキルクークの出身だ。「ミス・イラク」となったカシムは、来年3月にタイで開催されるミス・ユニバース世界大会にイラク代表として参加することになっている。

 受賞後、NBCニュースの取材に対して、「イラク社会には女性も存在し、男性同様の権利を持っていることを証明したい。間違ったことはしていないので、何も恐れていない」と、語っている。

殺害予告で出場辞退者も

 今回のミス・コンテストの参加者のうち少なくとも2人が殺害予告を受けた他、イスラム教保守派からの批判を受けて15人がコンテストから辞退した。そもそもコンテストの開催自体も、若い女性が参加することに反対する部族長らの脅迫によって、12月まで延期されていた。

 主催者側は、水着審査こそ実施しなかったが、ミス・ユニバースの実施要項に従って、イスラム女性が頭部を隠す「ヒジャブ」の着用は認めなかった。主催者のアフメド・リースは、英インディペンデント紙の取材に答えて、「平時の感覚」がイラクには必要だと話している。

「イラクの現状は不安定だ。しかしレバノンなど他の国と同じように、ミス・コンテストを開催したかった。平時の感覚を取り戻すために」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB3会合連続で0.25%利下げ、 反対3票 来

ビジネス

FRBに十分な利下げ余地、追加措置必要の可能性も=

ビジネス

米雇用コスト、第3四半期は前期比0.8%上昇 予想

ワールド

米地裁、トランプ氏のLAへの派兵中止命じる 大統領
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中