最新記事

感染症

カーニバルや五輪控えたリオデジャネイロ、ジカ熱制圧に総力戦へ

カーニバル会場は連日検査、2月には蚊の繁殖地の駆除のために兵士22万人を投入

2016年1月29日(金)10時41分

パンデミック寸前?   1月26日、ブラジルのリオデジャネイロは、来月開幕するカーニバルや8月の五輪を控え、同国で猛威を振るう感染症「ジカ熱」の流行を終息させようと対策を急いでいる。だが、それは困難な闘いとなるだろう。写真はカーニバルの看板の隣で、殺虫剤を手に防護服を身に着けた職員。リオで撮影(2016年 ロイター/Pilar Olivares)

 ブラジルのリオデジャネイロは、来月開幕するカーニバルや8月の五輪を控え、同国で猛威を振るう感染症「ジカ熱」の流行を終息させようと対策を急いでいる。だが、それは困難な闘いとなるだろう。

 ジカ熱感染はアメリカ大陸で20カ国以上に拡大し、熱帯・亜熱帯地方に健康上の不安が広がっている。

 ジカウイルスは、ネッタイシマカの媒介による感染が拡大する以前から南半球に存在していたと考えられている。同ウイルスは先天的に頭部が小さい「小頭症」との関連性が指摘されており、ブラジルでは小頭症の赤ちゃんが約4000人誕生している。

 国民にジカウイルスについて注意を促し、観光地や蚊の温床となる場所に殺虫剤をまいたりしているものの、大量の蚊がはびこり、ワクチンもないため、保健当局は解決策を見いだすのに苦労している。

 ブラジルのカストロ保健相は25日、ルセフ大統領と会談後、記者団に対し「われわれは大敗を喫しようとしている」と語った。

 同保健相は、ジカ熱に関する冊子の配布や、蚊の繁殖地の駆除のために兵士22万人を2月に配置する計画だと明らかにした。

 ジカ熱の症状は、妊婦やすでに何らかの疾患を持っていて合併症を引き起こす人以外はたいてい軽くて済むが、その原因はまだ解明されていない。感染者の血を吸ったネッタイシマカが世界各地に拡散するにつれ、感染も拡大している。

 毎年恒例のリオのカーニバルが始まるまであと1週間あまりとなった26日、市の保健当局はパレードが行われる場所などに殺虫剤を散布した。職員3000人以上が蚊の温床となっている場所に配置され、駆除を行っている。カーニバルと五輪開催中は、会場を毎日検査することにもなっている。

 各国政府や、世界保健機関(WHO)、米疾病対策センター(CDC)などの保健機関は、妊婦に対し、感染が確認されている国へ渡航する際は医師に相談するよう注意を促している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市首相「首脳外交の基礎固めになった」、外交日程終

ワールド

アングル:米政界の私的チャット流出、トランプ氏の言

ワールド

再送-カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブル

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 8
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中