最新記事

感染症

カーニバルや五輪控えたリオデジャネイロ、ジカ熱制圧に総力戦へ

2016年1月29日(金)10時41分

 暖かくなる時期に米国でも流行するのではないかと予想されるなか、同国の保健当局はジカ熱感染と小頭症の関連性についての研究を一段と強化している。

 一方、ブラジルの旅行代理店やホテルの経営者は、政府の注意事項に関する問い合わせは多いが、今のところまだキャンセルはそれほど多くはないと語る。

 政府筋がロイターに語ったところによると、ブラジル政府はソーシャルメディアや旅行代理店を通じて、ジカ熱や政府の対策を知らせる国際的なキャンペーンを行い、五輪へのいかなる影響をも避けるべく準備しているという。

 この数日に行われていたカーニバルに向けた事前イベントは多くの人を魅了し、防虫剤と共にビールや汗などの匂いが立ち込めた。

 ジカウイルスを媒介するネッタイシマカは順応性があるため、同ウイルスは今後も急速に拡散されるとみられる。

 ネッタイシマカはリオ市内や他の熱帯地方の都市によくある水たまりなどで発生、成長する。無秩序で計画性のない地区では、雨水や下水溝、ごみなどが格好の生息場所となっている。

 「増殖するには完璧な環境だ」と、ジカ熱感染の急速な拡大を予想した論文を発表していた加トロント総合病院の熱帯感染症専門家、アイザック・ボゴフ氏は語る。

住民の協力

 ジカウイルスは、ウガンダで1947年に初めて確認された。それ以来、流行は限定的で、過去10年で最新の流行は太平洋諸島においてだった。ブラジルへは、同国が2014年にサッカーのワールドカップ(W杯)を開催した際に旅行者によって持ち込まれたものと考えられている。

 したがって、ジカ熱についてはほとんど知られておらず、小頭症との関連も太平洋諸島での流行まで仮説は立てられていなかった。

 関連性をめぐる検証はようやく昨年になって開始され、ブラジル北東部で小頭症の子供の母親から羊膜のサンプルが採取された。

 現在、ジカ熱感染の疑いのある患者から直ちにウイルスを検知できる検査や、さらに重要であるワクチンを開発すべく、急ぎ研究が進められている。ただし、ワクチン開発には何年もかかるとみられている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中