最新記事

株式公開

アジアでIPO活発化、中国企業の資金需要根強く

日本郵政の総額120億ドル規模のIPOに支援され、第4・四半期のアジアでのIPOは360億ドルに

2015年11月6日(金)08時10分

11月5日、日本郵政の総額120億ドル規模のIPOに支援され、第4・四半期のアジアでのIPOは360億ドルに上る可能性がある。都内で4日撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

 中国本土のIPO市場は凍結された状態にあるが、資金を必要とする中国企業を中心に香港など他のアジア市場での新規株式公開(IPO)が活発化している。

 中国経済が減速するなか、IPOのバリュエーションは割安になっているものの、案件の伸びは加速している。ロイターの推計によると、11─12月にアジアで今後予定されるIPOは170億ドルで、特に香港の案件は倍近くに増加する見通し。

 日本郵政の総額120億ドル規模のIPOに支援され、第4・四半期のアジアでのIPOは360億ドルに上る可能性がある。トムソン・ロイターのデータによると、これは中国経済が好調だった2010年第4・四半期(762億ドル)以降で最も高い水準。

 モルガン・スタンレー(香港)のアジア太平洋株式資本市場共同責任者、ミル・チェン氏は「すべての案件は中国の景気減速を念頭にマーケティングが行われている。投資家は資本を活用したいが、慎重姿勢を崩していない」と指摘した。

 IPOやその他の株式取引の引受業務は、アジアでは投資銀行の収入の約半分を占め、米国の20%、欧州の19%と比べて重要度が高い。

 低調だった第3・四半期を踏まえると、IPOの活発化はアジアのバンカーにとって朗報だが、中国の景気減速という新たな現実を受け、2016年初めに予定されるIPOは安定企業の案件でさえ、控えめな見通しを背景に、低いバリュエーションを反映したものになると彼らは身構える。

 香港株式市場のハンセン指数<.HSI>は4月下旬につけた年初来高値を19%下回っている。

 モルガン・スタンレーのチェン氏は「センチメントは改善しているが、まだ完全には回復していない」と指摘した。

選別する投資家

韓国、オーストラリア、タイのIPO市場は年末まで比較的安定した水準で推移するとみられるものの、香港では、中国再保険<1508.HK>や中国華融資産管理<2799.HK>といった事業拡大に向け資金調達を目指す本土企業を中心にIPO案件が膨らんでいる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫

ビジネス

再送-〔ロイターネクスト〕米第1四半期GDPは上方

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円以外で下落 第1四半期は低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中