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急増する中国系移民にバンクーバーで高まる反感

投資と引き換えに中国人移民を受け入れたものの、中国語や中国文化の氾濫に戸惑うカナダ

2014年7月25日(金)12時04分
ミシェル・フロルクルス

まるでアジア? 増加し続ける中国系移民に反感が高まる(バンクーバー) Ben Nelms-Reuters

 カナダ西岸の都市バンクーバーが、中国からの移民に埋め尽くされようとしている。今やこの都市は香港をもじって「ホンクーバー」と揶揄され、アジア以外で「最もアジアらしい街」との異名を取る有り様だ。

 中国系移民は独自の文化を育み自分たちで仕事も生む。だが最近になって、他のカナダ人住民らが彼らを敵視しだした。まず標的にしているのは、街にあふれる中国語の看板や広告だ。

 ノースバンクーバーに住むブラッド・サルツバーグは、中国人向けの広告が「英語とフランス語による伝統的なカナダのアイデンティティーをむしばんでいる」と言う。今月中旬には、ウェストバンクーバーのバス停に掲げられた多数の中国語の広告に「カナダの公用語を大切に」と書かれたステッカーが貼られる事件が発生した。

 ウェストバンクーバーのマイケル・スミス市長は、中国語の広告は何ら問題がないと語る。「カネを払えば何でも好きな言語で広告を出せる」と彼は言う。

 中国人排除の動きは、香港が中国に返還され、移民が急増した97年前後から問題になり始めた。ブリティッシュ・コロンビア大学のダニエル・ヒーバート教授(人口統計学)は、31年までにバンクーバーとトロントの中国系人口が倍増するとの予測を発表。バンクーバーの中国系人口は総人口の23%となる80万9000人に急増するという。

 中国の裕福な中流層が住宅を買い占めていることも、バンクーバーの住宅市場を破壊するとして非難されている。05〜12年の8年間でブリティッシュ・コロンビア州に「投資移民」として移住した約3万7000人のうち、3分の2が中国本土からの移民だ。バンクーバーの不動産価格は北アメリカ最高クラスで、購入者の大多数が裕福な中国系だという。

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