最新記事

オリンピック

ソチ五輪で怖い2つのリスク

ロシアで怖いのはテロだけではない。同性愛の選手や観客も警戒したほうがよさそうだ

2014年1月21日(火)17時28分
デービッド・トリフノフ

歓迎のアピール 7色のユニフォームを着た五輪運営ボランティアたちとの会合に参加したプーチン(1月17日) RIA Novosti-Reuters

 同性愛者に対して一貫して強硬な姿勢を示してきたロシアのプーチン大統領。昨年には、未成年者に対する同性愛の宣伝を禁止する「同性愛宣伝禁止法」を制定した。2月7日にロシアのソチで開かれる冬季オリンピックに出場を予定している同性愛の選手や観戦客が、警察に捕まるのではないかと恐れるほどだ。

 しかし最近、プーチンの姿勢に変化が表れた。ロイター通信によれば、プーチンは17日にソチで行った五輪運営のボランティアスタッフたちとの会合で、同性愛者がソチ五輪での迫害を恐れる必要はないと発言。性的嗜好に関わらず、あらゆる選手や観客を歓迎すると繰り返した。「わが国は伝統的でない性的関係を禁じているわけではない。同性愛の宣伝を禁じただけだ。誰かを迫害したりはしないので、安心してくつろいで欲しい」

 ただし、「子供たちには関わらないで欲しい」とも付け加えた。五輪のボランティアスタッフが(同性愛者の権利を訴える運動のシンボルカラーでもある)7色のユニフォームを着ることになったことについても、「私がデザインしたわけじゃない」とコメンした。

高まるテロの脅威

 プーチンのこうした発言が報じられた日、北カフカス地方のダゲスタン共和国ではテロが相次いで発生。首都マハチカラのレストラン近くで2度の爆発が起き、警官を含む7人が負傷した。さらに19日には、ソチ五輪を狙ったテロ攻撃を予告する動画がインターネット上で公開された。

 この動画には、ロシア南部ボルゴグラードで先月30人以上の死者を出したテロ攻撃の実行犯とされる男2人が登場。ダゲスタンに拠点を置くイスラム武装組織「ヴィラヤット・ダゲスタン」のメンバーと目される彼らは銃を手にして、こう言い放った。「われわれは、あなた(プーチン)にプレゼントを用意した。(ソチを訪れる)すべての観光客にもだ」

 AP通信によれば、プーチンは五輪期間中の安全対策を優先課題と考えているが、訪問客に「圧力をかけること」にならないようにすると述べている。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指

ビジネス

米マスターカード、1─3月期増収確保 トランプ関税

ワールド

イラン産石油購入者に「二次的制裁」、トランプ氏が警

ワールド

トランプ氏、2日に26年度予算公表=報道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中