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ラジオでIQテストを受けて墓穴を掘ったロンドン市長

経済格差はIQの違いによるものと失言し、ラジオの公開番組でテストに挑戦したはいいが

2013年12月4日(水)18時41分
プリヤンカ・ボガーニ

はずれ 血筋も学歴も抜群のジョンソンでもIQが高いとは限らない Phil Noble-Reuters

 因果応報というやつだろうか。ロンドンのボリス・ジョンソン市長はボサボサの髪型と、しばしば論争を巻き起こす失言癖で知られるイギリス政界の有名人。そんな彼がラジオの公開番組に出演し、国民が注目する中でIQテスト方式の問題に挑戦した。

 ジョンソンが挑戦した問題は次のようなものだった。「3つあるリンゴの中から2つのリンゴを取りました。あなたはいくつリンゴを持っているでしょう」。ジョンソンの答えはこうだ。「リンゴくらい、みんないくらでも持ってるだろう。残ったリンゴは1つだ」

 だが、司会者のニック・フェラーリは「答えは1つですか? 違います。持っているリンゴは2つです」。残念、不正解だ。

 次の問題は、デジタル世代には少し難しいかもしれない。「夜の8時にベッドに入り、朝9時に起きようと目覚まし時計の針を回してアラームをセットしました。あなたは何時間後に目覚めたでしょう」

 答えは13時間ではない。「針を回して」セットする目覚まし時計では午前と午後を区別できないので、アラームは1時間後の夜9時に鳴ってしまう。答えは1時間だ。

 だがジョンソンは、この問題について「私には関係ない問題だ」と回答を拒否。もはや彼は、こう認めるしかなかった。「IQは、能力を測る唯一の尺度ではない」 

 それはそうだ。英王室の血を引き、オックスフォード大学を出た超エリートのジョンソンでも、質問に答えられないのだから。

 なぜジョンソンは、公衆の面前でこんな恥をかく羽目になったのか。話は1週間前に遡る。彼はシンクタンク主催の講演会で、経済的な格差の原因をIQの高さ、あるいは低さのせいにするかのような発言をして反発を買った。

「IQテストの価値をどう考えていようとも、これが格差問題を議論するうえで意味を持つものであることは間違いない。人類の約16%はIQが85以下、約2%はIQ130以上だ」

 ジョンソンはこのラジオ番組の中で、自分の発言は「格差が大きすぎる」ことを言おうとしたものだと弁明した。

 果たしてこの言い訳は「正解」だったのだろうか。

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