最新記事

ネパール

テロの恐怖も上回る一票への願い

06年の内戦終結以来、政争続きで憲法制定もできない異常事態に活路は見えるか

2013年11月20日(水)16時09分
アレクサンダー・べサント

監視の下 投票所に長蛇の列を作るネパールの有権者 Navesh Chitrakar-Reuters

 19日にネパールで制憲議会選挙が行われ、極左グループによる攻撃の危険も顧みず多数の国民が投票に訪れた。

 選挙妨害を監視するため20万人以上の警察と兵士が全土に派遣されたが、首都カトマンズでは投票開始3時間後に投票所で爆発が起き、3人がけが、そのうち少年1人が重傷を負った。

 06年に10年間にわたる反政府組織マオイストの武装闘争が終結して以来、今度で2度目の選挙となる。08年の制憲議会選挙ではマオイストが比較第1党となり、王制を廃止。だがその後も党派対立が続き、政権も3度交代したあげく憲法起草が果たせないまま議会は昨年5月に解散した。

 その後は首相不在の中、マオイストなど主要政党間の交渉が行われ、今年3月に選挙管理内閣が発足した。キル・ラージ・レグミ最高裁判所長官が暫定首相となり、選挙による新政権樹立を模索してきた。

 だがマオイストから分離した極左グループによる妨害工作はやまず、選挙前数週間で少なくとも30人が相次ぐ爆発により負傷した。

 それでも国民は選挙に足を運び、投票率は70%前後にのぼった。選挙結果の判明には数週間以上かかるとみられる。

 今回選出される制憲議会議員601人は大幅に遅れている憲法制定の任にあたる。同時に首相を選出する国会の役割も果たすことになる。

 だがどの政党も単独過半数を制する見込みは薄く、国民の願いとは逆にネパールの混迷は続きそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中