最新記事

中東

ドイツ人作家の直言にイスラエル激怒

イラン攻撃など自国の政策に批判的な思想家を片っ端から入国禁止にするユダヤ人国家

2012年4月17日(火)17時24分
ルーク・ブラウン

タブーを恐れず ドイツでも批判され心臓疾患で入院中のグラス Susana Vera-Reuters

 ドイツのノーベル文学賞作家、ギュンター・グラス(84)がイスラエルを糾弾する詩をミュンヘンの地元紙に投稿したのは4月4日のこと。激怒したイスラエル当局は、グラスにイスラエルへの入国禁止を宣告。さらに、ユダヤ人大虐殺の反省から露骨なイスラエル批判がタブーとなっているドイツ国内でも、賛否両論が巻き起こった。 

 そのグラスが4月16日、心臓の疾患のためにドイツ北部の港町ハンブルクの病院に入院したと報じられた。病院側も入院の事実を認めたが、詳細は明らかにしていない。

「言わねばならぬこと」と題した問題の詩は、ドイツのイスラエルへの武器売却を非難し、イランに対するイスラエルの軍事行動を許すべきではないと指摘。核開発疑惑がささやかれるイランへの敵対政策を続けるイスラエルこそ、「ただでさえ不安定な世界平和」への脅威だと断じている。

 イランの核開発疑惑をめぐる緊張は一段と高まっており、アメリカやイスラエルでは、イランが核開発を中止しない場合、核関連施設を攻撃すべきではないかとの議論が高まっている。

 イスラエルのエリ・イシャイ内相は、「イスラエルとイスラエル国民に対する憎しみの炎を煽ろうとする試みだ」との声明を発表し、グラスを入国禁止人物に指定した。

ユダヤ系有名人にも容赦なし

 イスラエルから入国を拒まれた著名人はグラスだけではない。2010年には、ユダヤ人でありながらイスラエルに批判的な発言で知られる世界的な言語学者ノーム・チョムスキーがヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラのビルゼイト大学で講演を行うためにイスラエル入りしようとしたが、ヨルダン国境で入国を拒否された。

 ユダヤ系アメリカ人の政治学者ノーマン・フィンケルスタインも08年、イスラエルに入国する際に逮捕。国外追放処分を受け、10年間の入国禁止を言い渡されている。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イラン交渉団、和平目指し直接会談 パキスタン交

ワールド

米軍がホルムズ「掃海」とトランプ氏、イランTVなど

ワールド

バンス米副大統領、パキスタンのシャリフ首相と会談

ワールド

米が資産凍結解除に同意とイラン筋、米当局者は否定
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけない副作用に研究者が警鐘
  • 2
    中国が恐れる「経済ドミノ」
  • 3
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦によって中国が「最大の勝者」となる理由
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 6
    革命国家イラン、世襲への転落が招く「静かな崩壊」
  • 7
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人…
  • 8
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 9
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 9
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 10
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中