最新記事

軍事

侮れない北朝鮮のGPS妨害工作

米軍機のGPSを妨害するのは安くて簡単。いざ戦争のとき爆弾が命中しなくなる可能性も

2011年11月11日(金)14時11分
パトリック・ウィン

「実績」も 北朝鮮は米韓合同軍事演習中に米偵察機を緊急着陸させていた Reuters

 ネット通販で30ドル程度の装置を買い、ちょっとした技術を使えば軍のGPS(衛星利用測位システム)シグナルは妨害できる。このことは軍事機密とはいえないほどよく知られている。

 北朝鮮はこの弱点を巧みに突いたようだ。米国防総省は否定しているが、韓国軍の報告書によれば今年3月の米韓合同軍事演習中に、北朝鮮がひそかに発したGPSシグナル妨害電波で米偵察機が緊急着陸に追い込まれたという。北朝鮮は、国境近辺に大部隊が集結する合同演習に常に神経をとがらせている。

 安く、簡単に手に入るGPS妨害装置は北朝鮮には魅力的な装備だ。手間も費用もかからないが、相手を混乱させる効果は大きい。ただし今のところ、北朝鮮の妨害工作で米韓両軍に深刻な被害が生じたケースはない。

 問題は本格的な戦争になった場合だ。米空軍の爆弾はGPS誘導装置が使われていることが多く、爆弾の信号が妨害されると目標から30メートルほど外れる可能性がある。

 韓国軍の報告書によると、北朝鮮は400キロ離れた場所からGPS信号を妨害できる高性能装置を保有しているとみられる。

GlobalPost.com特約

[2011年9月28日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:アフリカ地域決済システムが前進、課題は「

ワールド

アングル:飛行機恐怖症広がるインド、墜落事故に深刻

ワールド

米上院共和党、EVの新車税額控除を9月末に廃止する

ワールド

米上院、大統領の対イラン軍事力行使権限を制限する法
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影してみると...意外な正体に、悲しみと称賛が広がる
  • 3
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急所」とは
  • 4
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    キャサリン妃の「大人キュート」18選...ファッション…
  • 7
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 8
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 9
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 10
    「水面付近に大群」「1匹でもパニックなのに...」カ…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 6
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中