最新記事

イエメン

ベールを燃やして殺戮に抗議する女たち

イスラム女性の象徴であるベールを燃やして男性の蜂起を促すイエメン女性の勇気

2011年10月27日(木)15時09分
カイル・キム

怒りの炎 イエメンの反政府活動では女性たちが指導的な役割を果たしている Louafi Larbi-Reuters

 反政府デモに対する弾圧で多数の死者が出ているイエメンで、女性たちがイスラムの伝統衣装ベールを燃やす抗議デモを行った。数百人の女性が26日、首都サヌアに集結し、「人殺しサレハ(大統領)は女たちを殺し、それを恥じていない」、「サレハの目には女は虫けらも同然だ」などの横断幕を掲げて行進した。

 この抗議行動は、先週末の反政府デモの弾圧で、少なくとも25人が死亡したことを受けて実施された。国連安保理は先週、全会一致でイエメン政府の弾圧への非難決議を採択した。

 ベールを燃やす行為は遊牧民族ベドウィンの意思表示で、政府の弾圧を止めさせるために立ち上がるようベドウィンの男性に求めている。参加した女性たちは、「これはイエメンの自由な女性たちからの訴えだ。独裁者サレハの虐殺を世界に直視してもらうためにベールを燃やした」というチラシを配った。

 中東諸国の民主化運動「アラブの春」をきっかけにして今年3月に始まったサレハと政府に対するイエメンの反政府活動では、女性たちが指導的な役割を果たしている。女性の権利拡大のために活動を続けてきたイエメンの女性活動家タワックル・カルマンは、今年のノーベル平和賞に選ばれた。

 サレハは、政権を放棄すれば訴追を免除するという調停案に合意すると約束したが、まだ署名していない。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米、極端な寒波襲来なら電力不足に陥る恐れ データセ

ビジネス

英金利、「かなり早期に」中立水準に下げるべき=ディ

ビジネス

米国株式市場=S&P4日続落、割高感を警戒 エヌビ

ワールド

ゼレンスキー氏が19日にトルコ訪問、ロシアとの交渉
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中