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米軍ヘリ誤射殺の暴露ビデオは必見だ

ロイター記者を含む民間人10数人が撃ち殺された映像を見れば、駐留米軍がイラクであれほど嫌われている理由が分かる

2010年4月8日(木)17時19分
スティーブン・ウォルト(ハーバード大学ケネディ行政大学院教授=国際関係論)

衝撃 米軍ヘリが民間人を攻撃するさまを写した内部告発ビデオがネットで公開された Reuters

 イラクのバグダッド郊外で民間人が米軍ヘリの攻撃を受け、ロイター通信のスタッフ2人を含む十数人が殺される事件が起きたのは07年7月のこと。

 この攻撃を撮影したビデオが先ごろ、インターネットの動画サイトのユーチューブで公開された。ニューヨーク・タイムズ紙によれば200万人以上がこのビデオを見たという。

 私もその200万人のうちの1人だ。何の罪もない人々が標的になったことがひしひしと伝わってくる、本当に恐ろしいビデオだった。

 なぜ多くのイラク人がアメリカ人を追い出したがっているのか、なぜアメリカ国民やその指導者たちが期待するほどアメリカという国は人気がないのか----。その理由を知りたければ、このビデオは必見と言える。

 ビデオの中で印象的なのは、ヘリの乗員と管制官の淡々としたやり取りだ。戦闘中だというはっきりした認識があるにも関わらず、彼らの会話には非常事態であるとか危険が迫っているといったことを感じさせるものは何もない。

 時おり障害物にさえぎられていら立ったり、標的に命中させて得意気になったりする以外、口調も穏やかだ。

 要するに彼らにとって戦闘は日常茶飯事なのだ。乗員は通常の手順を踏み、射撃を始める前に発砲の許可を得て、標的を捉えるようヘリを操縦し、連続射撃を浴びせた(現代兵器の火器の威力が生々しく伝わってくる)。

 攻撃(つまり同じ人類の悲惨な死)の後には、自己満足を示す軽口や笑い声が続く。心底ぞっとさせられる場面だ。

規則を守っても悲惨な過ち

 このビデオからは、こうした事件が決して珍しくはないということが伺える。関係者に対する処分が行なわれなかったのもそのためだ。

 他の事件と違う点があるとすれば、それはロイターの記者が巻き込まれたということと、ビデオがリークされてネットに流されたということだ。類似の事件が数多くあるのだとすれば、米軍の攻撃で親族を失った(そこまで行かなくとも米軍を恐れ忌み嫌う理由をもつ)イラク人はたくさんいるに違いない。

 私は米軍の兵士が交戦規則を順守しなかったとか、「標的」が武器を携帯していない可能性に気づいていたとか言うつもりはない。それよりも気になるのは、明らかに規則の枠内で行動しようとしているにも関わらず、彼らが悲惨な過ちを犯してしまったという点だ。

 この種の戦争で圧倒的な火力をもって敵を制しようとする限り、この手の過ちは避けられないということを思い知らされる。他の国に介入しようとすれば、こうした事態が起こりうることを私たちは肝に銘じなければならない。

 他国への介入を是とする外交政策を掲げる国が抱える根本的な問題の1つは、こうした国はしばしば他の国々の不興を買うような行為に出るということだ。

 もしアメリカ人が自国の政府がどんなことをやっているか知らなければ、他国からの敵意がどこから生じるか正確に理解することはできない。敵意の原因が自国の政策にあるという点を認識できず、こんな抵抗は筋が通らないとかイデオロギー的な反感の反映だとか、アメリカ的価値観への奇妙な敵意のようなものだと考える傾向が生まれるだろう。

 自分たちを突き動かすのは高貴な目的だけであり、非難される点はないと信じるあまり、アメリカ人は反米感情の原因を読み違え、自分たちの行動を見直すことで反米感情を緩和するチャンスを逃してしまうかもしれない。

告発サイトは「社会の公器」

 だからこそアメリカ国民にとって、アメリカの安全保障の名の下にどんなことが行なわれているかを知ることは不可欠だ。

 無人機による攻撃や暗殺、間違って殺された人々のこと、問題の多い武装勢力の指導者への支援、外国政府に対する「秘密工作」などなど......。アメリカの同盟国(同じ穴のムジナだと見なされがちだ)による同様の行為についてもだ。

 情報があれば、アメリカという国の力の最も醜い部分を経験した人々が、アメリカに対して怒りを抱くことに驚いたりはしなくなるだろう。反米感情を誤解する可能性も減るはずだ。

 つまり今回のビデオを公表した告発サイト「ウィキリークス」のような、政府にとって隠しておきたい事件や活動を暴露する組織はいわゆる「社会の公器」としての機能を果たしているということだ。

 政府は自分たちのやっていることのプラス面について説明するのは非常に得意だ。だがそれ以外の部分を知るためには、独立系の意志の強いジャーナリスト(やブロガー)が必要だ。

 インターネットやブログは、既存の勢力にとって支配したり操作しづらい存在であるが故に、社会の意識を高めることを目指す戦いにおいて大きな資産と言える。

Reprinted with permission from Stephen M Walt's blog 08/04/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

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