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ドイツ総選挙

「偉大なる欧州左派」のドミノ倒し

欧州主要国の中道左派は壊滅寸前、残るはイギリスとスペインだが……

2009年9月30日(水)16時27分
シュテファン・タイル(ベルリン支局)

 イタリアとフランスの左派は分裂するか自滅した。そして先週末はドイツの番だった。9月27日の総選挙で社会民主党(SPD)が大敗を喫し、欧州の左派退潮の波に飲み込まれたのだ。かつて何十年にもわたってヨーロッパ政治を支配した偉大なる労働党や社会民主党は過去の存在になりつつある。

 SPDの得票率は05年の総選挙のときの34%から23%へ、3割も減った。同党にとって戦後最悪の記録であることはもちろん、ドイツの国政選挙でこれほど負けた政党はかつてない。支持者の多くは、SPDを見捨ててより過激な左派党に票を投じた。左派党の選挙スローガンは「国民全員に富を」で、12%を得票した。

 保守政党のキリスト教民主同盟(CDU)を率いるアンゲラ・メルケル首相は過去4年間、ライバルSPDとの融通の利かない大連立に足を引っ張られてきた。だが今度の選挙で、CDUと企業寄りの自由民主党(FPD)は合わせて過半数を獲得できた

 これで、欧州主要国で政権の座にある中道左派政党は2つしかなくなった。1つは、ゴードン・ブラウン首相率いるイギリスの労働党だが、今の様子だとすぐにSPDの後を追うことになりそうだ。結局、ホセ・ルイス・サパテロ首相率いるスペインの社会労働党が、欧州で最後まで生き残る偉大なる左派になりそうだ。

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