最新記事

米軍事

リビア空爆はオバマの戦争だ

2011年3月30日(水)16時35分
スティーブン・ウォルト(ハーバード大学ケネディ行政大学院教授=国際関係論)

 とはいえ、国民はこうした「ごまかし」をうのみにするべきではない。私がオバマの演説でもう1つ気になったのは、その内容にほとんど意味がなかったこと。これは間違いなくアメリカの意志で介入を決めた戦争であり、重要なのはオバマがそれをどう正当化するかや、今回の介入が悪い先例になるかもしれないという懸念をどう払拭するか、泥沼にはまるかもしれないという危険性ではない。

 本当に問題なのは、今後数週間もしくは数カ月の間にリビアで実際に何が起きるのかということだ。カダフィがすぐに権力の座から引きずり落とされ、反政府勢力がある程度の秩序を回復できたとしたら、この軍事作戦は成功だったと評価されるだろう。

 一方で、もし作戦が手詰まりになって長引いたり民間人の犠牲者数が跳ね上がったり、多国籍軍の足並みが乱れたり、あるいはカダフィ失墜後のリビアに混沌と暴力が蔓延し、過激派の温床になるようなことがあれば、オバマの雄弁な演説は一笑に付され、彼の決断は誤りだったと評価されることになる。

 言葉を選んで正当化することが大事なときもある。だが結局のところ、重要なのはどんな結果に終わるかだ。

Reprinted with permission from Stephen M. Walt's blog, 30/3/2011. © 2011 by The Washington Post Company.

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:アジアで来年、多数のIPO計画 AIバブ

ビジネス

10月経常収支は2兆8335億円の黒字=財務省

ワールド

世界の食料価格、11月は3カ月連続下落 1月以来の

ビジネス

午前の日経平均は小幅続落、ソフトバンクGが押し下げ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中