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歴史家が垂涎するツイッター

2010年5月28日(金)13時25分
ジュリア・ベアード(社会問題担当)

 見知らぬ人とビデオチャットできるサイト「チャットルーレット」のユーザーの9割は男性で、その8人に1人はペニスを露出している。ある調査によれば、同サイトでは女性の裸そのものより女性に脱げと要求する場面を目にする機会が2倍多いという。

 つまり、私たちは進歩すればするほど......オッパイを見たがるようになるわけだ。私たちはナルシシスト的な傾向を強め、変態度を増しているのだろうか。

 いや、それは私たちが新しい表現方法を手に入れたというだけの話だ。面白かったり洞察力のあるツイートは多い。著名人のつぶやきは編集の手が入らず無防備なため、評論家や政治家がばかに思えたり、セレブが意外と思慮深いことを書いていて考えさせられることもある。

つぶやきは余白の落書き

 ある研究によれば、つぶやきの40%は社会問題に関するたわいもない話だという。だがこうした無駄話を専門的に研究している歴史家も多い。今日取るに足りないものが明日になって大きな意義を持つことはよくある。世の中の愛憎や抗議の対象、支持する政治家、その理由も教えてくれるからだ。

 政治とナンセンス、自己アピールと社会運動、偽物と本物、狂気と愛情──私たちが日々ネットの世界で作り出している歴史だ。

 連邦議会図書館でツイッターなどをデジタル保存する計画の責任者を務めるマーサ・アンダーソンが、今回の騒動の中で見たつぶやきで面白かったのは次のようなものだという。「ジャーナリズムが歴史の第1草稿ならツイッターは余白の落書きってこと?」

 まさに言い得て妙だ。憲法の草稿の余白に裸の女性の落書きを見つけたら私たちはショックを受けるだろうか。いや、いつの世も人はそう変わらないものだと納得するはずだ。

[2010年5月12日号掲載]

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