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政治がおかしいのはメディアのせい?

政治の問題としてメディアの偏向報道を挙げる人が多いが、偏向を作っているのは有権者だ

2010年4月9日(金)16時09分
ダニエル・ストーン(ワシントン支局)

 アメリカではこの数カ月間、医療保険制度改革と学生ローン改革をめぐって、多額の資金をつぎ込んだ派手なロビー活動が繰り広げられてきた。多額の政治献金が米政治を二極化させているとして、糾弾するのは当然の成り行きだ。

 しかし4月6日に発表されたラスムッセン社の世論調査は、反対の結果を示している。。調査によると、政治をおかしくしている要因としてメディアの偏向報道をあげた有権者は55%で、多額の政治献金と答えた割合(32%)を上回った。つまり有権者は、ワシントンで私腹を肥やす政治家よりも、テレビや新聞(まあ、雑誌もそうだ)に登場する専門家に苛立ちを感じている。

 ケーブルテレビの番組が政治的なイデオロギー色を強めていることが、政治の二極化を助長していることはほぼ間違いないだろう。保守派のキャスター、グレン・ベックが昨年3200万ドルを稼いだことは、「オピニオン・ジャーナリズム」がどれだけ大きなビジネスになっているかを表している(中道のCNNがこの一年、視聴率を落としているのも同じ原因だ)。

 しかし、メディアの偏向がロビー活動より問題視される時代になったということは一大事で、間違いなく特筆に値する。ロビー活動は誰もが嫌悪感を示す、米政界の中核をなす政治活動なのだから。

 ニューズウィークも「メディア」の一端である以上、どんな批判も甘んじて受け入れよう。ただ責任逃れを承知で言えば、メディアは多くの場合、人々が見たい、聞きたい、知りたいと思うことを反映している事実を考慮しなければならない。

 今年2月の記事で、本誌記者エバン・トーマスは、「壊れている」ように見える米政府も、実際には完璧に機能していると指摘した。彼が言うには、「壊れている」のは気まぐれな有権者の方だ。とすると問題なのはメディアなのか? それとも、自分たちの好みで報道内容を左右できる消費者なのか?

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