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アメリカ政治

笑えない「オバマは偽アメリカ人」騒動

2009年7月29日(水)17時44分
ハワード・ファインマン(本誌コラムニスト)

政治に利用するのは火遊びも同然

 政治的なチャンス到来と感じた民主党の下院議員らは、ハワイ州誕生50周年に際して「第44代アメリカ合衆国大統領、バラク・オバマの生誕の地」を祝福する決議の採択を提案した(もっと重要な問題に取り組んでもらいたいものだ)。

 オバマの出生疑惑を信じる議員(少なくとも9人いる)が反対票を投じれば、彼らの存在をあぶりだせるという意図だ。しかし結局、反対する議員はおらず、決議は全会一致で採択された。

 もっとも、ホワイトハウスや議会民主党のこうした策略は、自傷行為にもなりかねない。

「バーサーズ」運動の中核をなす人々は、アメリカの政治を深く分断する破壊の伝統を担ってきた人々だ。少なくとも彼らの一部は、開拓時代にルーツをもつ古臭い自由主義者より、ずっとたちの悪い存在だ。
 
 私も70年代半ば、彼らに出会ったことがある。ケンタッキー州ルイビル郊外の学校で人種を融合させるため、裁判所の命令によって黒人と白人の生徒が一緒にバス通学を始めた様子を取材したときのことだ。

 彼らは連邦政府の「陰謀説」を信じていた。政府は不当に「銃を取り上げ」、不法移民に国境を開放し、「異人種を交わらせようとしている」、と(古びた表現だが、この言葉に共鳴する人は今もいる)。

 彼らのように過激な原理主義者の目には、オバマはそうしたすべての「悪」を体現する人物に映る。

 彼らを笑い飛ばして刺激するのは禁物だ。どんな恐ろしいことをするかわからない。かといって、目の前の政治的利益のために利用するのもあまりに危険すぎる。

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