最新記事
医療

1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?

Superbugs Could Kill Millions by 2050. A 100-Year-Old Treatment Could Help

2025年9月17日(水)13時39分
アリス・ギブス
ウイルスのイメージ

National Institute of Allergy and Infectious Diseases-Unsplash

<2050年までにがんを上回る死因になると言われる薬剤耐性菌・スーパーバグ。抗生物質が効かない菌に打ち勝つ治療法は、100年以上前に既に発見されていた──>

2050年までに、薬剤耐性を持つ「スーパーバグ(超多剤耐性菌)」によって、年間最大1000万人が死亡する可能性がある──世界保健機関(WHO)はそう警告している。20世紀の医学を一変させた「奇跡の薬」抗生物質は、急速にその効力を失いつつある。

そんななか、100年以上前に発見されながら忘れられていた治療法に、再び注目が集まっている。「ファージ療法」と呼ばれるこの手法は、細菌に寄生して内部から破壊する性質を持つウイルス「バクテリオファージ」を使って感染症と闘うというものだ。

かつてペニシリンに埋もれていたこの研究分野は、感染症に対する新たな対抗策を求める動きの中で、再び脚光を浴びている。

科学誌『セル・リポーツ(Cell Reports)』に掲載された新たな研究によると、細菌はウイルスに攻撃された際、驚くべき「生存戦略」を発動することがあるという。

細菌は感染を拡大させる代わりに、ウイルスを細胞内で「隔離」するような領域を形成し、ウイルスを残りの細胞部分から遮断する。この「隔離ゾーン」に閉じ込められたウイルスは、必要な資源を得られず、複製できないまま死滅する。

この現象を明らかにしたのは、メルボルン大学とエルサレム・ヘブライ大学の研究チーム。彼らは遺伝子実験に加え、細胞内を3次元で詳細に観察できる高度なイメージング技術を用いて、細菌がウイルスをどのように封じ込めるかを、ほぼリアルタイムで観察することに成功した。

メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

原油先物下落、ホルムズ海峡巡る日欧声明や米の供給拡

ワールド

EU首脳、中東のエネルギー・水関連施設への攻撃停止

ビジネス

EU、エネ価格高騰で一時的措置検討へ 減税など視野

ビジネス

今年の財貿易伸び1.9%に鈍化、WTO予想 イラン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 ──「成功」が招く自国防衛の弱体化
  • 4
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 5
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 6
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 7
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 8
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 9
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 10
    トランプ暴走の余波で加熱するW杯「ボイコット論」..…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中