最新記事
サイエンス

全ての生物は「光」を放っていることが判明...死ねば消えてしまう「オーラ」のメカニズムとは?

A Faint Glow of Life

2025年6月19日(木)19時05分
イアン・ランドル(科学担当)
オーラのような光を放つ人

動物の生命活動や植物のストレス反応を観察すると… BRUCE ROLFF/SHUTTERSTOCK

<「オーラ」は疑似科学の範疇だったが、もしかすると立派な科学の範疇に入るかも>

人々が持つ「オーラ」といえば疑似科学の範疇(はんちゅう)かもしれないが、実は全ての生物は肉眼では見えない微弱な光を発している──そして、それは死とともに消えうせる。

カナダのカルガリー大学の研究チームは、そんな結論を導き出した。特殊カメラを用いてマウスの「超微弱光子放出(UPE)」を捉えたのだ。


「UPEは生命活動と密接に関係する。生物の生化学や代謝の仕組みを非侵襲的に探る手段として重要だ」。カルガリー大学の物理学者バヒド・サラリらは、今年4月に学術誌ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー・レターズでそう述べた。

UPEは単細胞生物から植物、動物、人間まで多様な生命体から検出されてきた。ホタルなど可視光を放つ生物発光とは異なり、UPEの光は極めて弱い。熱放射で発する光である黒体放射とも異なる。

UPEの最大の役割は、活性酸素種(ROS)の生成だという。ROSは酸素を含む分子で、生命維持活動のための化学反応の副産物。細胞がストレスに反応する際のシグナル分子として働くが、過剰に生成されると酸化ストレスを引き起こす。それが細胞の抗酸化防御の能力を上回ると細胞が損傷を受け、電子励起や電子移動といった反応が起き、光の粒子(光子)が放出されると考えられる。

東京アメリカンクラブ
一夜限りのきらめく晩餐会──東京アメリカンクラブで過ごす、贅沢と支援の夜
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ大統領を「信頼」は58%に低下、抗議デモ

ワールド

メキシコ大統領、カナダとの2国間貿易協定の可能性を

ワールド

ブラジル、WTOに協議要請 米関税引き上げ巡り=情

ワールド

スイス大統領、米国務長官と会談 39%関税発動7日
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 2
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの母子に遭遇したハイカーが見せた「完璧な対応」映像にネット騒然
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 5
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 6
    【徹底解説】エプスタイン事件とは何なのか?...トラ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    大学院博士課程を「フリーター生産工場」にしていい…
  • 9
    かえって体調・メンタルが悪くなる人も...「休職の前…
  • 10
    バーボンの本場にウイスキー不況、トランプ関税がと…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 9
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 10
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中