最新記事
インターネットを超えるブロックチェーン

1分で分かる「ブロックチェーン」の概念と仕組み

2018年11月27日(火)16時15分
ニューズウィーク日本版編集部

HPHOTOSWPG/ISTOCKPHOTO

最近、ニュースで「ビットコイン」「仮想通貨」「ブロックチェーン」という言葉を聞かない日はない。なかでも注目度が高まっているブロックチェーンは、仕組みこそかなり複雑だが、その概念は「価値のあるもの全てを記録可能で、不正な書き換えとは無縁のデジタル台帳」と簡潔に説明できる。

生まれたのは2008年。ビットコインの取引を記録する技術として発表された。ビットコインの預け入れや支払いを記録する取引履歴は「トランザクション」と呼ばれ、トランザクションは台帳に相当する「ブロック」に収められる。新たな取引履歴がブロックに次々取り込まれ、ブロックがいっぱいになるたびにマイニング(採掘)による新しいブロックが追加されてチェーンのように連なることからブロックチェーンと呼ばれている。

最大の特徴は、コンピューター同士が対等につながったP2P(ピア・ツー・ピア)の分散型ネットワークで運営される点にある。中央で管理するサーバーがなく、ネットワーク上の全てのコンピューターで正しい情報を共有するため、仮に1つのコンピューターが攻撃されても、ネットワーク全体のデータが改ざんされるようなことはない。データの復旧も容易だ。取引履歴をネットワーク参加者全員が閲覧することで、相互監視機能も働いている。

改ざんの恐れがないため、企業や組織といった第三者を挟まずに価値や権利の転送ができる。銀行口座を持たない人でも、携帯電話やパソコンがあればブロックチェーンを使って送金が可能。不動産登記や著作権の権利書をブロックチェーン経由で直接送ることもできる。食品流通の透明性向上も代表的な利用例だ。

<2018年12月4日号掲載>

【関連記事】グーグルやフェイスブックから個人情報を自分で守る防衛策
【関連記事】音楽、働き方、マグロ......ブロックチェーンが変える6つのこと



※12月4日号(11月27日発売)は「インターネットを超えるブロックチェーン」特集。ビットコインを生んだブロックチェーン技術は、仮想通貨だけにとどまるものではない。大企業や各国政府も採用を始め、データ記録方法の大革命が始まっているが、一体どんな影響を世界にもたらすのか。革新的技術の「これまで」と「これから」に迫った。
(この記事は本誌「インターネットを超えるブロックチェーン」特集より転載)

ニューズウィーク日本版 コメ高騰の真犯人
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月24日号(6月17日発売)は「コメ高騰の真犯人」特集。なぜコメの価格は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

パリ航空ショー、一部イスラエル企業に閉鎖命令 イス

ワールド

アングル:欧州で増加する学校の銃乱射事件、「米国特

ビジネス

豪サントス、アブダビ国営石油主導連合が買収提案 1

ワールド

韓国、第2次補正予算案を19日に閣議上程へ 景気支
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中