最新記事

エアライン大革命

空港のセキュリティーチェックの行列、これでなくなります

2018年9月27日(木)17時30分
ニューズウィーク日本版編集部

COURTESY OF ANALOGIC

<安全性が向上するだけでなく、長蛇の列がなくなって利用者のイライラも解消。そんな新型の3D装置が全米各地の空港に導入される。本誌9/26発売号「エアライン大革命」特集より>

※本誌10/2号(9/26発売)は「エアライン大革命」特集。超長距離フライトから空中タクシーまで――夢が現実になる日はすぐそこまで迫っている。空の旅の最新事情と未来像に迫った。

空港でのテロ対策には厳格なセキュリティーチェックが欠かせないが、検査場の長蛇の列はつらいもの。米運輸保安局(TSA)が導入を進める最新装置が普及すれば、安全性が向上するだけでなく、手荷物検査の時間が短くなって利用者のイライラも解消されるかもしれない。

TSAは今年7月、医療用のコンピューター断層撮影(CT)技術を応用して荷物を全方位からスキャンする新型のX線検査装置を、全米各地の空港に導入すると発表した。

従来の2次元画像とは異なり、高精度の3D立体画像が表示されるため、荷物に隠された爆発物や武器を検知しやすくなる。乗客がペットボトルなどの液体やノートパソコンをいちいち手荷物から取り出す手間も省ける可能性がある。「CTスキャン技術を活用することによって、空港の保安検査場で脅威を検知する能力が大幅に向上する」と、TSAのデービッド・ペコスキー長官は言う。

価格は1台が約30万ドル。ボストンやフェニックス(アリゾナ州)など一部の国際空港では既に導入が始まっており、年内に全米の15カ所の空港に計40台、19年度末までには145台以上が設置される見込みだ。加えて、連邦政府の施設にも16台が導入される予定だという。

アメリカの空港では今年に入って、保安検査場を通過する旅行者の数が記録的な水準に達しており、検査場での待ち時間の長さが大きな問題になっていた。TSAによれば、6月29日に全米の空港で検査場を通過した乗客と乗務員の数は、史上2番目に多い約268万人に達したという(1位は04年の感謝祭直後の日曜で271万人)。

TSAは数年前に、乗客の衣服の下まで透視できる検査装置を導入して大バッシングを受けたことがある。今年8月にも、全米150以上の小規模空港で保安検査を廃止することを検討していると報じられ、批判を浴びた(TSAは予算削減案の1つとして挙がっただけだと釈明している)。

安心どころか不安ばかりをまき散らしてきたTSAの汚名を、最新鋭の3D装置が吹き飛ばしてくれるといいのだが。

【参考記事】外国人旅行者を魅了する世界最高の航空会社は...

ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ロシア財務省、石油価格連動の積立制度復活へ 基準価

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税

ワールド

現代自、米国生産を拡大へ 関税影響で利益率目標引き

ワールド

仏で緊縮財政抗議で大規模スト、80万人参加か 学校
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中