最新記事
SDGsパートナー

見えない食品ロスを「主役」に――服部栄養専門学校と神奈川県立中央農業高等学校が拓く食の未来

2025年12月17日(水)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

服部栄養専門学校は廃棄予定の果実に可能性を見出し、2025年5月にはメロンの摘果時期に合わせて試作を実施、翌6月には高校内での調理実習へと展開した。

試作とレシピ開発では、家庭での再現性を重視した日本料理と、高級食材や専門的な技法も取り入れた中華料理の双方からアプローチし、摘果メロンの新たな可能性を探った。

newsweekjp20251215144101.jpg

服部栄養専門学校 調理技術部長・横尾博志氏

高校内で行われた調理実習の指導には、服部栄養専門学校 調理技術部長で、かつて「龍天門」(恵比寿ウエスティンホテル)の総料理長を務めた横尾博志氏があたった。

中華料理で瓜類を扱ってきた豊富な経験を生かし、摘果メロンを使用した8品以上のレシピを提供。その中でも「摘果メロンと牛肉煮 青梗菜添え」は特に好評で、メインの牛肉よりも先にメロンが食べ尽くされたという。

捨てられるはずの食材が「主役」になり得るという実感が、摘果メロンへの見方を一変させ、工夫と発想次第で食材の可能性は広がるのだということを、高校生や教員に強く印象づけた瞬間だった。

小さな気付きから始まる、循環型の未来

今回の学校間連携では、プロの料理人が在籍する専門学校の強みと食材を大切にしたいという両校の思いが重なり、廃棄予定だった摘果メロンに新たな価値をもたらした。

現在、服部栄養専門学校は中央農高以外にも様々な高校と同様の連携を築いており、今後は全国各地の廃棄予定食材や、その土地で獲れるものの一般にはまだ知られていない農産物や海産物に対象を広げていきたいと構想している。

こうした学びを重ねた生徒が、やがて生産者など食に関わる職業に就いた際には、自らの経験をもとに、廃棄物を減らす多様な提案を行う立場になっていく――廃棄される食材の食べ方を考えることが、将来の消費者への発信にもつながっていく好循環をつくろうとしているのだ。

摘果メロンを入り口に、食品ロスの削減と「もったいない」の意識、そして食育の実践を同時に進める今回のプロジェクト。こうした取り組みを通じて、生徒たちが、これまで廃棄されていた食材にも新たな役割を見出せることを実感しながら学ぶことが、未来の食の現場で新たな提案を生み出す力となっていくはずだ。

◇ ◇ ◇


アンケート

どの企業も試行錯誤しながら、SDGsの取り組みをより良いものに発展させようとしています。今回の記事で取り上げた事例について、感想などありましたら下記よりお寄せください。

アンケートはこちら

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エネ価格「ECB基本シナリオに依然最も近い」=クロ

ワールド

再送トランプ氏、イラン高速攻撃艇「即座に排除」 封

ワールド

OPEC、4─6月の石油需要下方修正 中東情勢踏ま

ワールド

イスラエル、レバノン南部要衝で地上攻撃 直接会談控
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事の新シナリオ
特集:台湾有事の新シナリオ
2026年4月21日号(4/14発売)

地域紛争の「大前提」を変えた米・イラン戦争が台湾侵攻の展開に及ぼす影響をシミュレーション

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ「EV撤退」が示す、日本が失った力の正体
  • 2
    「いい加減にして...」ケンダル・ジェンナーの「目のやり場に困る」姿にネット騒然
  • 3
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相場で人気の優良株から売られる落とし穴
  • 4
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    トランプがまた暴走?「イラン海上封鎖」の勝算
  • 7
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 8
    「違法レベル...」ゼンデイヤの「完全に透けて見える…
  • 9
    トランプ政権に逆風...「イラン戦争でインフレ再燃」…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 8
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中