通信から始まる未来づくり――ハナセルがマラウイに届ける「自立の力」
「寄付」ではなく「自立」を育てる――現地とともに歩む未来
現社長のサマーズ氏がマラウイに初めて足を踏み入れたのは2012年のこと。当時はまだモベルに所属しておらず、創業者スミス氏に誘われて2週間滞在した。滞在中、現地の人々からはなぜか「また戻ってくるよね」と何度も声をかけられ、それが心に残ったという。帰国後にチャリティ活動への思いが強まり、自身の会社を売却してマラウイに戻り、3年間ボランティアとして働いた。その後モベルに加わり、現在は日本支店を拠点に経営を担っている。
「現地で出会った人々のまっすぐな生き方に心を動かされました。支援ではなく、一緒に未来をつくるという感覚でした」(サマーズ氏)
その言葉を象徴する出来事がある。マラウイで手作りのホットソースを売って生計を立てていた男性がいたが、徒歩での訪問販売には限界があった。そこでサマーズ氏は、イギリスから寄付された頑丈な自転車を彼に提供した。すると行動範囲が広がり、売り上げが安定。子どもたちの教育費まで賄えるようになった。さらに後年、彼のソースはブランド化が進み、「Woza Woza Hot Sauce(ウォザ・ウォザ・ホットソース)」として地域に知られる商品に育った。
「一台の自転車が、一つの家族と地域を変えた。これこそが『支援が継続する仕組み』の力です」(サマーズ氏)

現在、マラウイでは農業以外の産業が乏しく、インフラや雇用機会の不足が深刻な課題だ。同社はこの課題に応えるため、2025年11月に製粉所を稼働させ、小規模農家と提携しながら食料自給と収入向上を目指す。また、英語が公用語である利点を生かし、将来的にはマラウイ現地で英語カスタマーサポートを展開する構想も進行中だ。通信事業と地域支援をさらに直接的に結びつける挑戦である。
同社の支援は、慈善団体の立ち上げから教育支援、給食活動へと着実に広がり、いまは製粉所の稼働へと歩みを進めている。単なる寄付ではなく「雇用を生む支援」に軸足を置き、地域の自立を後押しするこの取り組みは、SDGsの理念を体現する実践例としてアフリカの大地に根づきつつある。
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