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寄木細工や加賀獅子、新たな文化体験へ...星野リゾート「界」が重視するCSV経営とは

2025年10月23日(木)16時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

全国23施設で、伝統工芸や文化を伝える取り組みを実施

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「界 長門」のご当地部屋「長門五彩の間」和室

その土地の伝統工芸・文化の継承を支援する「界」では、「ご当地部屋」「ご当地楽」「手業のひととき」といった取り組みが展開されている。

「ご当地部屋」は、その土地ならではの文化や芸術に触れることができる客室だ。例えば、山口県の「界 長門」のご当地部屋「長門五彩の間」では、山口市の無形文化財に指定されている「徳地和紙」をヘッドボードに取り入れたり、「萩焼」の茶器や花瓶を配している。

地域の文化が体験できるサービス「ご当地楽」は、宿泊者が毎日無料で楽しめる。例えば栃木県にある「界 鬼怒川」では、伝統工芸「益子焼」をテーマにした「益子焼ナイト」が催され、実際に作品に触れながら、その歴史や特徴を学べる。食事や客室の茶器にも益子焼が使われており、滞在中にその魅力を感じた宿泊者が購入を検討することもある。

「ご当地楽」2025年8月時点で全国23施設で展開し、体験者は延べ約210万人となった。例えば「界 玉造」では石見神楽の演舞を毎晩披露し、観光客が神楽そのものに関心を持ち現地祭礼に足を運ぶなど行動変容も生まれている。旅行者に地域文化を伝えるだけでなく、将来的な継続的支援につながる活動として、2030年までに延べ340万人の体験を目指している。

2021年からスタートした「手業のひととき」は、職人や生産者といった文化の担い手から直接手ほどきを受けることができる体験プログラムだ。希少な技を間近で見たり、職人や生産者との交流を通じて、伝統工芸品や文化への関心の向上に繋がっている。

神奈川県の「界 箱根」では、開業以来13年間にわたり寄木細工職人「露木木工所」との深いパートナーシップを築き、文化体験の深化を進めてきた。2013年に誕生した特別な客室「箱根寄木の間」は高い稼働率を誇り、寄木細工を宿泊体験へと昇華させた象徴的な存在だ。

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客室でも箱根寄木細工を楽しめる

また、毎晩開催してきたご当地楽「寄木CHAYA」では延べ6万4千人に歴史や技法を伝え、参加者の9割が高い満足度を示した。こうした継続的な交流により、宿は工芸品を紹介する場にとどまらず、文化の担い手と宿泊者を結ぶ「ハブ」として機能し、展示会来訪や工芸品購入など行動変容を促してきた。

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