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世界一人気のコーヒー豆、アラビカ種を温暖化から救え

Climate-Proofing Coffee

2024年12月4日(水)13時34分
ジョナサン・ローゼン(ジャーナリスト)

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WCRから届いた新品種の種子を植えるケニア農業畜産研究機構スタッフ WORLD COFFEE RESEARCH

2022年に立ち上げられたイノベアのプロジェクトでは、試験栽培の結果を基に選ばれた品種を交配させて新しい品種を作成。そこから得られた合計5000粒の種子を、ケニア、ルワンダ、ウガンダ、インド、インドネシア、コスタリカ、メキシコ、ペルー、ハワイ(アメリカ)の公的研究機関に託した。今年からその試験栽培が始まっている。

イノベアの特筆すべき点は、活動の規模が大きいこと、そして世界のコーヒー産地が協力していることだ。WCRのバーン・ロングCEOが言うように、市場で競争関係にある国々も協力の重要性を理解し、農作物の遺伝子を国外に送ることを受け入れている。


今から6年後くらいには、試験栽培された木が成長して、数回の収穫が終わっているはずだ。好ましくない点が明らかになる木もあるだろうが、「収穫高が多く、病気に強くて味もいい」木も見つかるだろうと、ロングは言う。

そうした木の試験栽培を継続したり、さらに交配を重ねて、もっと優れた品種の開発を目指したりすることになる。

ただし、新しい品種の開発により、問題が全て解決するわけではない。コーヒー産地の気温が上昇するのに伴い、栽培法の工夫や土壌の改良も必要になると、コーヒーなどの熱帯作物の歴史を研究しているゲルフ大学(カナダ)のスチュアート・マコック教授は指摘する。

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