最新記事
農業

世界一人気のコーヒー豆、アラビカ種を温暖化から救え

Climate-Proofing Coffee

2024年12月4日(水)13時34分
ジョナサン・ローゼン(ジャーナリスト)

newsweekjp20241204015310-9081fa190184daa9f2fa798d1ce1cf6fffb25c85.jpg

コーヒー豆の生産を守るために品種改良を目指す GERALD ANDERSONーANADOLU AGENCYーGETTY IMAGES VIA GRIST

収穫高に関する不安が高まる一方で、需要は増すばかりだ。一部の予測によると、世界のコーヒー消費量は現在1日当たり23億杯だが、今世紀半ばまでには2倍に跳ね上がる可能性がある。

コーヒー業界は、供給不足に対処しようと躍起になっている。アラビカ種以外の品種を栽培したり、ヒヨコ豆やデーツ(ナツメヤシ)の種などにカフェインを注入して代替コーヒーをつくったりする試みも行われている。


しかし、昔ながらのコーヒーを愛する人やンギブイニのようなコーヒー農家にとって最善の対応策は、アラビカ種の気候変動への適応力を高めて収穫高を増やすことだろう。非営利団体「ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)」が主導するプロジェクト「イノベア」は、この目標に向けてアラビカ種の品種改良を促進しようとしている。

コーヒーの長い歴史を通じて、豊かな国々の商社や加工業者、販売業者は、コーヒー豆の収穫を増やすための投資を全くと言っていいほど行ってこなかった。

転機が訪れたのは2012年。気温と降雨パターンの変化により、さび病という病気が蔓延し、コーヒー生産に大きな打撃が及んだのだ。コーヒー業界がWCRを設立したのはこの年のこと。WCRには現在、190社以上の企業が参加している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ政権、燃費規制の大幅緩和提案 ガソリン車支

ビジネス

ベセント長官、NEC委員長兼務も トランプ氏側近ら

ビジネス

マイクロン、コンシューマー事業から撤退 データセン

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、もみ合い後5万円回復 米
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    トランプ王国テネシーに異変!? 下院補選で共和党が…
  • 10
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中