「甘いもので脳が冴える」は大間違い――血糖値スパイクが招く脳劣化

2026年2月17日(火)17時36分
牧田 善二 (AGE牧田クリニック院長*PRESIDENT Onlineからの転載)

高血糖に続く低血糖で集中力激減

血糖値が上がって至福点に到達し、幸せな気分、冴えた気分になるのは一瞬で、その後、血糖値は下がっていきます。

このとき、血糖値の上がり方が急であるほど、下がり方も急になります。たとえて言うなら、ジェットコースターのようなものです。


このように血糖値が「急上昇・急降下」することを「血糖値スパイク」と言います。

健康な人の血糖値は、70~140くらいの間で収まっており、かつ大きな変動がないのが理想です。しかし、血糖値スパイクを起こすと、急降下時に70を切ってしまうことが多々あります。

血糖値が異常に低くなれば、吐き気、眠気、空腹感、頭痛、冷や汗、動悸、イライラ、震えなど、さまざまな不快症状に襲われます。そうなると、低血糖による不快感から抜け出したくて、また糖を摂ってしまう人が多いのです。

その結果どうなるかというと、「糖摂取→血糖値が上がったことによる一時的快感→低血糖による不快感→糖摂取」という負のスパイラルに陥ります。そして、これを繰り返しているうちに、脳がすっかり破壊されていきます。

健康な人にもこんなことが起きている

先にふれた「ブドウ糖負荷試験」は、2時間後までの計測が原則です。そのため、さらに長時間経過した血糖値の変化については、医療関係者でも把握できていませんでした。

そこで、鹿児島県の今村総合病院(当時は今村病院分院)や鹿児島大学などが、5時間後まで血糖値を追跡するという研究を行いました。その結果、大変に興味深いことがわかりました。

その研究には、糖尿病と診断されたことも血糖値の異常を指摘されたこともない26名の健常者がボランティアで協力してくれました。

このボランティア26名にブドウ糖負荷試験を受けてもらうと、3時間後くらいに、ひどい低血糖に陥るケースがたくさん見られたのです。

次ページに、いくつかのグラフを載せますので見てください。

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1番目の60代男性の場合、30分後に222まで上がった血糖値が、180分後には67まで下がっています。

2番目の40代男性は、60分後に267まで上がり、180分後に61まで下がっています。

まさに、健康なはずの人の体で血糖値スパイクが起きていることを示しています。

3番目の50代男性に至っては、60分後に208まで上がった血糖値が、180分後には44まで下がっています。これは、相当な不調が出るレベルです。

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