「ノートが汚い=頭が悪い」は大きな誤解...東大生に共通していた意外な特徴
"上位1割"に食い込むほどに成長
ある日の授業後、計算テストの追試に挑む彼に対して、私は特別な条件を与えてみました。「今日は時間制限なし。答案の"きれいさ"で採点する」と伝えて問題を解かせたのです。
すると、最初は丁寧に書くことに不慣れで、ぎこちない様子だったものの、通常の倍以上の時間をかけて丁寧な答案を仕上げてきました。驚くほど読みやすく、もちろん全問正解。本人も「落ち着いてやれば自分はできるんだ」と気づいたようで、表情が明るくなったのを覚えています。
この経験をきっかけに、彼は「答案をきれいに書くことの大切さ」を実感したようで、普段のノートにも自然と気を配るようになりました。余白を取り、式と説明をそろえて書く習慣が身についたのです。
すると不思議なもので、ノートが整理されていくと同時に、自分でも学習内容を振り返りやすくなり、成績も順調に伸びていきました。ミスの原因を後から確認できるようになったことも大きかったのだと見ています。
当初は塾内の模試で下位3割ほどにいましたが、中3の時点では上位1割に食い込んでいたのです(その後、彼は東京大学に合格を果たしました)。
"裏紙に書きなぐっていた"東大理三合格者
「そうはいっても、うちの子は本当に大丈夫なの?」と思われる方もいるかもしれません。そこで参考になるのが、実際の東大理科Ⅲ類(理Ⅲ)合格者のノートです。
私たちカルペ・ディエムでは、今年、日本の大学受験で最高峰とされる東京大学理科三類の合格者29人にインタビューを行いました〔東大カルペ・ディエム(著、編集)、西岡壱誠(監修)、じゅそうけん(監修)『東大理III 合格の秘訣 Vol.40 2025』(笠間書院)〕。その際にノートを見せてもらうと、世間で「美しい」ともてはやされた"東大ノート"のイメージとはかなり違っている合格者がいることに驚きました。裏紙に書き殴っていたという合格者もいたのです。

彼ももちろん試験本番などの答案では綺麗に書いているのだそうですが、理三合格者でも日頃から常に美しいノートを取っているわけではない、という事例です。
ここまで見てきた通り、ノートが汚いことを「能力不足」と結びつけるのは尚早かもしれません。思考のスピードに手が追いついていない可能性が非常に高く、技術さえ身につけられれば自然と改善していくのです。





