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クマに9回襲われて生還した専門家が警告する、首都圏「クマ出没」要注意エリア

2025年11月18日(火)14時27分
ダイヤモンド・ライフ編集部*DIAMOND Onlineからの転載

11月に入ると市街地の食べ物の匂いでさらに強大なクマが奥山から現れる

まず、クマが市街地に出てくる順序から解説しよう。米田氏によると、9月ごろから体長1メートル程度のクマが出没するが、2歳程度で好奇心が強い一方、クマとしては未熟で、人を襲って死なせようとするケースはあまりないという。この場合、寺社仏閣や公園、広い庭がある住宅に目星を付けるという。

次に10月になると、若いメスグマが出てくるという。主に親子連れで、建物の中に誤って入ってしまう場合もあるが、被害はそこまで大きくならない傾向がある。


ところが、秋が深まり10月末に差し掛かると、性別を問わず力を持ったクマが森の奥から現れ始めるという。そうしたクマは森の中にエサがなくなると、農耕地に出て、農作業中の人を襲う可能性が高くなる。

そして11月に入ると、市街地の街路樹や犬のエサ、飲食店やスーパーなどが放つ食べ物の匂いに誘引され、さらに強大なクマが奥山から現れるそうだ。

傾向として遅い時期に出てくるクマほど打撃力が強く、人命を脅かす事故につながりやすい。秋が深まり、冬が近づくにつれてクマによる人身被害が増える背景には、このようなクマの特性があるのだ。

続いて、首都圏でクマが出るかもしれない「要注意エリア」について、米田氏の最新の見解を聞いた。実は米田氏、23年の取材では「神奈川県横浜市の、よこはま動物園ズーラシア周辺」を挙げていた。これは、25年現在も変わらないという。

「このエリアは町田市や多摩市に程近く、鶴見川が付近を流れ、少し離れたところには多摩川や相模川も流れている。『三保市民の森』『新治市民の森』など、保全された深い森も近くにある。森や川を伝って、多摩市や町田市の辺りからクマが移動してきても不思議ではない」というのがその理由だ。

「25年は都内にもクマが頻出。最も目撃情報が多いのは『檜原村方面』で、秋からは南東の『高尾山方面』にシフトしてきているのが見逃せない」と米田氏は指摘。「さらに首都圏の中心部へクマが出ていくとなると、『神奈川県丹沢方面』から、東京の西部へつながる『多摩丘陵』がそのルートになる」と推測する。

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