最新記事
ダイエット

ランニングか筋トレか...肥満予防や糖尿病に効果的なのはどっち?

Running or Weightlifting? Study Reveals Which Is Better for Diabetes

2025年11月5日(水)14時55分
ルーシー・ノタラントニオ
ジムを歩く女性

運動と一口に言ってもさまざまな種類がある Drazen Zigic-shutterstock

<糖尿病はもちろん、肥満を予防するにも運動は効果的だが>

ランニングはカロリー消費に効果的だ。しかし、糖尿病や肥満の予防という観点では、別の種類の運動のほうが優れている可能性がある。

バージニア工科大学の運動医学研究者のジェン・ヤンを中心とした研究チームは、持久運動(ランニングなど)と抵抗運動(ウェイトリフティングなど)が、肥満や糖尿病の研究で一般的に用いられている、高脂肪食を与えられたマウスにどのような影響を及ぼすかを調べた。


結果、研究チームは、ランニングとウェイトリフティングのどちらも、血中の余分な糖分を除去する助けになることを発見した。

しかし、ウェイトリフティングのほうが、体脂肪の減少、血糖値の改善、インスリン抵抗性の低下において優れていた。これらはいずれも、糖尿病の予防および管理にとって重要だ。

「この発見は、さまざまな理由から持久運動に取り組めない人々にとっても朗報である」とヤンは述べた。「ウェイトトレーニングには、糖尿病に対する効果が同等、あるいはそれ以上にあるのだ」

英ランカシャー大学でスポーツ医学の上級講師を務めるスチュアート・ヘスケス医師は本誌に対し、ウェイトトレーニングでは、ランニングやサイクリングなどの運動ではあまり使われない、大きく速い動きの筋肉(速筋)が鍛えられると語った。

ヘスケスは、「こうした筋線維を鍛えることで筋肉量が増え、安静時のグルコース取り込み能力が向上する。血糖の『貯蔵スペース』が増えるということだ」と述べた。

さらに、「ウェイトトレーニングは独自の分子シグナルを活性化させる」とヘスケスは続けた。例として、細胞の成長と生存を制御するmTORタンパク質や、筋タンパク質合成を促進し、体脂肪の変化とは無関係にインスリン感受性を改善するカルシウム経路を挙げた。

【参考文献】

Shute, R. J., Montalvo, R. N., Shen, W., Guan, Y., Yu, Q., Zhang, M., & Yan, Z. (2025). Weightlifting outperforms voluntary wheel running for improving adiposity and insulin sensitivity in obese mice. Journal of Sport and Health Science.

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:日銀利上げでも円安、残る「介入カード」 

ワールド

タイ・カンボジア、24日に停戦協議 ASEAN外相

ビジネス

中国万科、債権者が社債の返済猶予延長を承認 償還延

ワールド

中国、萩生田氏の訪台に抗議
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 10
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中