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インフルエンザ検査が「ガムを嚙む」だけで、自分で簡単にできる【最新研究】

Chewing Gum Could Soon Diagnose the Flu Early

2025年10月8日(水)18時15分
ハンナ・ミリントン

課題は製造?

この新しい分子センサーは、香辛料であるタイムに含まれる成分であるチモールを放出する。これは舌の上で強いハーブ系の味として知覚される。

研究論文の著者は、「インフルエンザ感染者を識別するための大規模な早期検査を可能にし、感染拡大の制御に役立つ」と述べた。チモールの味を感じた時点で、隔離措置や追加検査といった対応を個人でも速やかに取れるようになるのだ。


初めに使われた分子センサーは、インフルエンザウイルスが宿主細胞に感染する際に使う糖タンパク質の一種であるノイラミニダーゼを基盤としている。

「これは、元の形では味を感じることができない。ノイラミニダーゼはウイルス複製の鍵となる酵素であり、この酵素が分子センサーを切断することで、容易に味として認識できるチモールが生成される」とマイネルは説明する。

「つまり、ウイルスの存在が味覚として知覚されるように変換されるのだ」

インフルエンザと診断された人の唾液を用いた実験では、この分子センサーは30分以内に純粋なチモールを放出した。さらに、ヒトおよびマウスの細胞を使った試験では、細胞生存率に影響は見られず、分子センサーが生体細胞に対して毒性を持たないことが示唆された。

しかし、マイネルは、「最終的には数分で検査が完了することを想定している。しかし、まだヒトでのテストは行っていない。分子センサーやそれを含んだチューインガムを、認可された環境で製造する必要がある」と課題を指摘する。

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