職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何か?...「うつ病」との関係から予防策まで
どちらが悪いかという視点で考えない
適応障害をはじめとする職場におけるメンタルヘルス不調の再発防止のためには、まずは休職に至った経緯を振り返り、原因分析をしなければいけません。
しかし自分だけで原因分析をすると、「職場環境と自分のどちらに問題があったのか」を考えた際に、「職場環境が悪いのではないか」との結論に至りがちです。
人間は物事を考える時、自分の視点から捉えるのが自然です。そのため、休職の原因を振り返る際にも、「自分は悪くない」と考えて、相手(この場合は職場環境)に原因があると考える傾向にあります。
職場環境とは、「仕事量」や「上司・同僚や顧客などとの人間関係」などの、仕事をするうえで与えられる条件のことです。
「自分ではなく職場環境が悪い」と考えると、再発防止策を検討する際に、
「仕事量が少なければ大丈夫」
「あの上司が厳しく言わなければ働ける」
「あの顧客を担当から外してもらえれば問題ない」
といった考えが浮かびます。
産業医として、復職を希望する人と面談する際には「必ず再発防止のための対策を考えてください」と伝えるようにしています。この時、多くの人は、先ほどのような職場環境の調整を対策として挙げます。そこで私は、「自分は全く変わらなくてもいいのですか?」と聞くようにしています。