セックスは「衝動」ではなかった...空腹とは異なる、快楽の仕組み「インセンティブ・モチベーション」とは何か?
「インセンティブ」という言葉から、賞品や努力する価値のあるものというイメージを連想する人も多いでしょう。生物学的な意味も似ています。
衝動が体内の不快な感覚に後押しされるものであるのに対し、インセンティブ・モチベーション・システムは、魅力的な外側からの刺激に引っ張られるもの。
好奇心はインセンティブ・モチベーション・システムの典型的な例で、空腹と同じくらい自然に生じますが、実際に死に追いやられるような脅威はありません(*4)。
「衝動」と聞いたら、「生存(サバイブ)」を連想しましょう。「インセンティブ・モチベーション」と聞いたら、「前進(スライブ)」を連想してください。それが重要なのには、少なくとも2つの理由があります。
まず、もしセックスが空腹のような衝動だとしたら、自発的な性欲をほとんど、あるいはまったく経験しない人はどうなるでしょう?
そう、何日も、何週間も、何カ月も食べていないのに、自発的な空腹を経験しない人と同じで、間違いなく病気です。そして、自分が病気だと思い込むと、ストレス反応が働きます。ストレスが性的な快楽や欲求にとってどれほど大きく影響するかは、もうご存じですよね?
セックスは衝動であるという神話は、人々の性生活にとって有害です。セックスが空腹ではなく好奇心のようなものであることには、より重要な理由があります。