最新記事
メンタルヘルス

朝8時前に、なぜ仕事を始めてはいけないのか?...「脳が処理しきれない」心理学者が警告

Don't Start Work Before 8 A.M., Psychologists Say It Causes 'Brain Overload'

2025年6月26日(木)09時10分
スー・キム

「問題は時間ではなく、起床から始業までの『間』なのです。起きてすぐ仕事に入ると、脳が『急かされている』と感じて睡眠の質を落とし、夜中に目覚めた際にも再入眠しにくくなります」

心疾患など健康へのリスク

概日リズムの乱れは「心臓病、高血圧、脳卒中、さらに肥満や2型糖尿病のリスクが上がる」として、長期的な健康リスクをもたらすことを臨床心理士のミアーズ氏は警告する。


2022年の『臨床睡眠医学ジャーナル(Journal of Clinical Sleep Medicine)』誌では、シフト勤務によるリズムの乱れが心疾患や糖尿病と関連していることが報告され、2023年の『治験医学(Journal of Investigative Medicine』誌でも、大腸がんのリスク上昇が示されている。

臨床神経心理士のサナム・ハフィーズ氏も次のように本誌に述べる。

「早い始業は、運動や朝食といった健康習慣を犠牲にしがちになります。運動不足は日中のエネルギー低下やストレス増加につながります。朝食を抜けば、脳や体の燃料が不足し、仕事の効率も落ちてしまいます。

睡眠は不要な情報を整理し、脳をクリアに保つ働きがあります。これなしには記憶が曖昧になり、思考の精度も下がってしまいます」

産業カウンセラーで心理士のペルティエ氏も起きてすぐの作業は「睡眠慣性(sleep inertia)」によるぼんやり感が残ること。そして、この状態は最大1時間続くこともあり、頭が冴える前に作業すると効率が落ちると指摘する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米下院、エプスタイン文書公開巡り18日にも採決 可

ワールド

国連安保理、トランプ氏のガザ計画支持する米決議案を

ワールド

米大学の25年秋新規留学生数、17%減 ビザ不安広

ビジネス

ティール氏のヘッジファンド、保有エヌビディア株を全
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 7
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 8
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 9
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中