朝8時前に、なぜ仕事を始めてはいけないのか?...「脳が処理しきれない」心理学者が警告
Don't Start Work Before 8 A.M., Psychologists Say It Causes 'Brain Overload'
「問題は時間ではなく、起床から始業までの『間』なのです。起きてすぐ仕事に入ると、脳が『急かされている』と感じて睡眠の質を落とし、夜中に目覚めた際にも再入眠しにくくなります」
心疾患など健康へのリスク
概日リズムの乱れは「心臓病、高血圧、脳卒中、さらに肥満や2型糖尿病のリスクが上がる」として、長期的な健康リスクをもたらすことを臨床心理士のミアーズ氏は警告する。
2022年の『臨床睡眠医学ジャーナル(Journal of Clinical Sleep Medicine)』誌では、シフト勤務によるリズムの乱れが心疾患や糖尿病と関連していることが報告され、2023年の『治験医学(Journal of Investigative Medicine』誌でも、大腸がんのリスク上昇が示されている。
臨床神経心理士のサナム・ハフィーズ氏も次のように本誌に述べる。
「早い始業は、運動や朝食といった健康習慣を犠牲にしがちになります。運動不足は日中のエネルギー低下やストレス増加につながります。朝食を抜けば、脳や体の燃料が不足し、仕事の効率も落ちてしまいます。
睡眠は不要な情報を整理し、脳をクリアに保つ働きがあります。これなしには記憶が曖昧になり、思考の精度も下がってしまいます」
産業カウンセラーで心理士のペルティエ氏も起きてすぐの作業は「睡眠慣性(sleep inertia)」によるぼんやり感が残ること。そして、この状態は最大1時間続くこともあり、頭が冴える前に作業すると効率が落ちると指摘する。