「太ってもいい」は嘘だった?...「ボディ・ポジティブ」の旗手たちも糖尿病薬で「お手軽ダイエット」の功罪
The Beautiful And The Damned
太っていることをアイデンティティーの前面に押し出してきた多くの著名人が、今、このプレッシャーにさらされている。少し前まで「太っている自分を受け入れる」ことを唱えていたインフルエンサーが、減量薬を使うことで、自らが築き上げてきたコミュニティーからバッシングに遭うこともある。
プラスサイズ・モデルのエラ・ハリカスは、多囊胞(のうほう)性卵巣症候群(PCOS)を管理するためにオゼンピックを使っていることが、「フォロワーを落胆させないか心配だった」と認める。
インフルエンサーのロージー・ブレアは、マンジャロを服用したら(体重が落ちて)体を動かしやすくなったという喜びを投稿したところ、「太っている人に対する差別だ」とか「脂肪恐怖症だ」と非難されたという。
肥満は病気という認識の欠如
マサチューセッツ総合病院の肥満専門医チカ・アネクウェは、こうした反応の根っこにあるのは、文化的な偏見だと語る。
「インスリン注射やコレステロール低下薬なら、ずるをして治そうとしているとは言われない。でも、肥満治療薬は違う。それは肥満が医学的な症状として認識されていないからだ。そこを変えなければいけない」
クリッツマンは、問題はコストや個人の選択だけではないという。「健康的な食べ物が手に入りにくいことや運動不足、所得格差、そして洪水のようなジャンクフードのマーケティングも関係している」