最新記事
健康

老化は生まれる前から始まっていた...「スーパーエイジャー」の3つの「長寿の秘密」とは?

2025年2月26日(水)11時40分
ニール・バルジライ (アルバート・アインシュタイン医科大学教授)

長寿遺伝子プロジェクトで多くのことを学び、重要な観察結果とつながりを見出したものの、一定の年齢の人たちの研究では、その人の生涯を追跡して得られる情報のひとかけらしかわからない。

そこで、「ロンジェニティー(長寿と遺伝子を組み合わせた造語)」という名の新しい研究を始めることにした。


 

その研究では、アシュケナージ系ユダヤ人で95歳以上生きた親を持ち、長寿遺伝子プロジェクトに参加していない人を採用した。このグループをOPEL(並はずれた長寿の親を持つ子)と呼び、対照群はOPUS(普通の寿命の親を持つ子)と呼ぶ。

被験者は1400人近くで、毎年、さまざまな認知機能検査、脳のMRI、冠動脈のCTスキャンなど、多くの検査を行っている。

加齢に伴って健康状態がどうなるか詳しい情報を得るため、そしてもちろん、健康と長寿遺伝子の関係を見つけるためでもある。長期的な目標は、ヒトに並はずれた長寿をもたらす遺伝子を特定し、その遺伝子と加齢性疾患や長寿との関連性を評価することだ。

これまでのところ、わたしたちの研究結果は勇気づけられるようなもので、医学研究界からもたいへん歓迎されている。研究結果でわかったことをまとめると、長寿は、


■世代から世代へと高確率で遺伝し、

■高いHDLコレステロール値と、低い低比重リポタンパク(LDLすなわち「悪玉」)コレステロール値との関係が大きく、

■大きなHDL分子とLDL分子を持つ人に起きやすい。分子が大きいと、心臓血管疾患、インスリン耐性、高血圧の発症率が低くなる。


ニール・バルジライ (Nir Barzilai)
1955年生まれ。アルバート・アインシュタイン医科大学教授。同大学老化研究所設立者。ポール・F・グレン老化生物学研究センター、およびアメリカ国立衛生研究所(NIH)ネイサン・ショック・センター加齢基礎生物学部門のディレクターも務めている。専門は内分泌学。100歳を超える長寿家系を調べ、ヒトの長寿遺伝子を世界で初めて発見した。長寿研究の世界的権威として、全米老年問題研究連盟(AFAR)「アーヴィング・S・ライト賞」など数々の賞を受賞している。本書が初の一般書となる。


newsweekjp20250210103459-aa639a0db322c340d31a74d4ba1c0b466a658a09.png


 『SuperAgers スーパーエイジャー 老化は治療できる
  ニール・バルジライ/トニ・ロビーノ[著]
  牛原 眞弓[訳]
  CCCメディアハウス[刊]


(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)


ニューズウィーク日本版 脳寿命を延ばす20の習慣
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月28日号(10月21日発売)は「脳寿命を延ばす20の習慣」特集。高齢者医療専門家・和田秀樹医師が説く、脳の健康を保ち認知症を予防する日々の行動と心がけ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米パラマウント、ワーナー・ブラザーズ買収で最有力か

ワールド

金価格10週ぶり下落へ、ドル高重し 米CPI控えポ

ビジネス

東京ガス、アラスカ州のLNG調達に関心表明 

ワールド

米、ガザへの新たな援助物資供給方法の提案を検討
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 3
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼稚園をロシアが攻撃 「惨劇の様子」を捉えた映像が話題に
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 7
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 8
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 9
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 10
    「石炭の時代は終わった」南アジア4カ国で進む、知ら…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中