最新記事
健康

大腸がん発見の精度アップ...新たなスクリーニング検査方法の可能性【最新研究】

Accurate New Blood Test for Colon Cancer

2025年2月15日(土)10時00分
ショーン・デューク(科学担当)
細胞

doodlartdotcom-pixabay

<大腸内視鏡検査はがん発見には有効だが、患者にとっては負担が大きい部分も...>

中高年層を対象に、大腸がんを正確に検出し、がんが存在しない場合には確実に除外できる新しい血液検査(Freenome blood-based CRC screening test)が、アメリカでのがん検診率の向上に寄与する可能性がある。

この研究では、新しい血液検査を45歳から85歳の男女4万人以上を対象に、アメリカ国内200カ所で実施。その後、同じ被験者が大腸内視鏡検査を受け、両検査の結果を比較した。


 

その結果、大腸がん患者に対しては81%の精度でがんを検出し、健康な人に対しては90%の精度で陰性の判定ができることが『臨床腫瘍学ジャーナル(Journal of Clinical Oncology)』 で報告されている。

「アメリカ疾病予防管理センター(CDC)」によると、大腸がんはアメリカでがん関連死で4番めに多い原因となっており、2022年だけで5万2967人が命を落としている。特に男性の発症率が高いとされる。

約3分の1は、大腸(S状結腸や直腸)の外へがんが広がる前に診断されているが、10%はリンパ節や周囲の組織、他臓器に転移した後に発見されている。また、20%の症例では、遠隔転移が進行してからようやく診断が下されているという。

「簡単で安全、かつ確実に実施できる追加の大腸がんスクリーニング検査も必要です。血液検査は、大腸がん検診率の向上に貢献する可能性を秘めています」

この新しい血液検査は、大腸がん検査の受診率を向上させる可能性があると、論文の筆頭研究者であるニューヨーク大学グロスマン医科大学院の消化器専門医のアースマ・シャウカット医師は述べる。

アメリカの一部の州では、大腸がんの検査対象者の約40%が検診を受けていない。現在、大腸がんの標準的なスクリーニング検査方法は大腸内視鏡検査だが、この検査には腸管洗浄液(下剤)を服用するなどの事前準備や鎮静剤の投与など、患者にとって負担が大きい部分もある。

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは150円半ばで上昇一服、米雇用統計

ワールド

石破首相「影響緩和に万全尽くす」、相互関税の米大統

ビジネス

関税による輸出採算悪化、賃上げへの影響に不確実性=

ワールド

インド製造業PMI、7月改定値16カ月ぶり高水準 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 4
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 5
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 6
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 7
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 8
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 9
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 10
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 9
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 10
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中