最新記事
ヘルス

「野菜ファースト」はダメ絶対! 日本の高齢者5人に1人が不足、食事で初めに口にすべきものは?

2023年9月8日(金)19時30分
和田秀樹(精神科医) *PRESIDENT Onlineからの転載
サラダを食べる老婦人

写真はイメージです maroke - shutterstock


高齢者は健康維持のために、どんな食べ方をすればいいか。医師の和田秀樹さんは「高齢者に『ベジファースト』はお勧めできない。加齢とともに食事量が減り、消化機能が落ちてくると野菜でお腹いっぱいになってしまい、筋肉の材料であるタンパク質を十分にとれない」という――。

※本稿は、和田秀樹『やせてはいけない!』(内外出版社)の一部を再編集したものです。

高齢者の正しい食べ順は「野菜から」は間違い

「ベジファースト」をみなさんは実践していますか?

食事を野菜から食べてお腹を満たしていたら、すぐにやめてくださいね。高齢者のみなさんにはお勧めできる食べ方ではありません。

「ベジファースト」は、野菜(ベジ)を最初(ファースト)に食べるダイエット法です。食物繊維豊富な野菜から食べ始め、次にタンパク質がとれる肉や魚、大豆製品と続き、最後にご飯の順番です。

最初に野菜から食べたほうが、糖質の吸収をコントロールできます。血糖値が緩やかに上昇するため太りにくいといわれています。いつもの食事の内容を変えなくても、手軽にダイエットできるとされるため、最近では多くの方が実践しています。

40〜50代の方であれば「ベジファースト」でも問題ありません。しかし、加齢とともに食事量が減り、消化機能が落ちてきているみなさんが食物繊維が豊富な野菜をもりもり食べていると、お腹がいっぱいになってしまいます。

「野菜だけでお腹がいっぱいなった!」「やせられる!」と喜んではいけません。たくさん食べられないのは老化です。

筋肉の材料であるタンパク質を十分にとれないため、体重が減り、筋肉が減ってしまいます。

食事量が減ってしまう理由は、年齢とともに胃の機能が低下するからです。胃の弾力性が徐々に低下して、食べ物が入ってきても十分に胃が広がりません。だから一度にたくさんの量をためておくことができないのです。

胃から小腸へ食べ物を送る蠕動(ぜんどう)運動も低下します。そうすると消化に時間がかかります。食べたものが胃の中にとどまっているので、すぐにはお腹も空きません。

「ベジファースト」ではなく「ミートファースト」を

では、たくさん食べられない方は、どのような食事法がいいのでしょうか?

それが「ミートファースト」です。食事量は減っても、栄養はしっかりとることが大事です。


ステップ1 最初に肉を食べる。筋肉の材料をしっかりとる
ステップ2 次に野菜を食べる。腸内環境を整える
ステップ3 最後に炭水化物

野菜をたくさん食べることが健康にはよいことです。しかし、何よりもバランスが大事です。「かくれ栄養失調」に陥るリスクが高まります。

高齢者が「かくれ栄養失調」になると、どんどん食べる力が落ち、栄養状態が悪化してフレイルに陥ることにもなりかねません。

70歳以上の日本人の5人に1人がタンパク質不足といわれています。

「まず肉から食べる!」

今日から実践してみてください。

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

情報BOX:パウエル米FRB議長の会見要旨

ビジネス

FRB、5会合連続で金利据え置き 副議長ら2人が利

ワールド

銅に50%関税、トランプ氏が署名 8月1日発効

ワールド

トランプ氏、ブラジルに40%追加関税 合計50%に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 5
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中