最新記事

ライフスタイル

「まず目の前の小さなごみを拾う」ゴミ屋敷清掃のプロに学ぶ、年末の大掃除

2022年12月23日(金)08時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ゴミ箱

timscottrom-iStock

<クリスマスや正月の準備、帰省と、多くのタスクに追われがちな年末年始。ストレスで途方に暮れないように自分の心を安定させるにはどうするか?>

エッセイストで翻訳家の村井理子さんは、多数の連載を抱えながら、年に何冊もの翻訳書や自著を出版し、プライベートでは思春期の双子の男の子の親であり、義父母の介護もする主婦でもある。

多くのタスクをこなしているにもかかわらず、穏やかでいる秘訣とノウハウを『いらねえけどありがとう いつも何かに追われ、誰かのためにへとへとの私たちが救われる技術』(CCCメディアハウス)より抜粋する。

◇ ◇ ◇


目の前の小さなことから片づける

いままでの人生で、「これは確実にピンチだ」と思ったときは二度あった。

一度目は47歳で心臓手術のために入院したときで、二度目はその翌年、兄が突然死し、彼が住んでいたアパートを片づけることになったときだった。心臓手術を終えて1年後に、兄のアパートの片付けをしていたのだ。こんな大ピンチは人生で何度も起きはしないだろうという程度の大ピンチの連続だ。

どうにかしてそれを乗り越えて、いま思うのは、目の前の小さな問題をひとつひとつクリアしていくのが、確実に最短コースだということ。なぜなら、大きな問題は、小さな問題の集合体だからだ。

ゴミ屋敷の片づけをテーマにした、とある清掃会社のYouTubeチャンネルで、社長がゴミ屋敷の片づけのコツを解説していた。山のように積み上がった大量のゴミを前に、まず何をするのが大切か。

それは、まずは自分の足元のゴミを拾い、周囲に一定のスペースを確保することだという。確保されたスペースにじっと留まり、こつこつと周囲のゴミを袋に詰めていく。まずは自分の足元をクリアにするのが、ゴールへと続く道になるのだそうだ。学びが多すぎる。

私が人生最大級のピンチに見舞われたときも、無意識ではあったが同じことをしていた。とにかく、目の前に山ほど積み上がった問題を、ひとつひとつ、片っ端からクリアにしていった。嫌だな、面倒だな、最悪だなと思いつつ、まずは大きな問題から手をつけ、そして小さな問題を見落とすことないよう注意しながら、処理していった。

ゴミに溢れた兄の部屋を掃除したときは、最大サイズのゴミ袋を買ってきて、バサッと開いて、目の前にある小さなゴミを片っ端から、黙々と袋に詰めていった。そうして作業していくうちに、徐々にゴールが近づいてくることがわかり、絶望感は消えていった。あとは一直線に進むだけだった。

目の前のことを、こつこつと。これが大事なようだ。



 『いらねえけどありがとう いつも何かに追われ、誰かのためにへとへとの私たちが救われる技術
 村井理子[著]
 CCCメディアハウス[刊]


 (※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ドイツ予算委、500億ユーロ超の防衛契約承認 過去

ビジネス

「空飛ぶタクシー」の米ジョビ―、生産能力倍増へ 

ビジネス

ドイツ経済、26年は国内主導の回復に転換へ=IMK

ワールド

豪首相、ヘイトスピーチ対策強化を約束 ボンダイビー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中