最新記事
日本映画

映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?...「単なるホラー作品とは違う」「あの大作も顔負け」

‘Exit 8’ Adapts The Video Game With Pragmatic Sincerity – Movie Review

2026年3月27日(金)15時05分
ザック・ウォイナー (ポップカルチャー記者)

これに対しゲーム版では、異変を見つけるたびに思わず鳥肌が立つ感覚があった。映画では多くの異変がやや淡々と提示されるため、インパクトという点ではやや弱く感じられる部分もある。

ただし、登場人物たちが異変を探していく過程そのものは魅力的で、どこかツイッチ(Twitch)でゲーム配信を見ているような感覚を思い起こさせる。

物語はときに予想外の方向へ展開するものの、設定の核となる魅力を見失うことはなく、最後まで謎と不穏な緊張感を維持している。

結末の詳細には触れないが、原作ゲームが曖昧で余韻を残す終わり方だったのに対し、映画はより納得感のある結末に仕上がっており、メッセージもどこか前向きだ。

ストレートなホラー作品とはやや異なるが、終盤で安易なジャンプスケアに頼らない点も含め、第3幕は本作を一般的なブラムハウス作品的な作りから一段階引き上げている(もちろん、それらの作品自体に問題があるわけではないが)。

総じて、映画『8番出口』は、原作を無理に改変することなく映画として成立させた点で成功している。設定の核はそのままに、映画というメディアに適した要素を加えることで、独自の体験を可能にした。

原作ほどの直接的な恐怖はないが、それは無理にゲーム特有の没入感を再現しようとすることを避けた結果とも言える。むしろ本作は、映画としての形で体験を翻訳しつつ、すべてのプレイヤーが一度は抱いた疑問――「あれは一体何だったのか」――に対する1つの答えを提示している。

映画『8番出口』はアメリカでは今年4月10日公開予定だ。


ザック・ウォイナー(Zak Wojnar)
アメリカ・ニューヨーク在住のライター。映画やビデオゲーム、テレビなどのポップカルチャーを主な専門分野としている。


【関連記事】
■映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が「ほぼ」完璧な映像化だと言える理由
■『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
■観客が撮影...ティモシー・シャラメが「アカデミー賞を逃した瞬間」の表情がSNSで話題に

ニューズウィーク日本版 BTS再始動
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月31号(3月24日発売)は「BTS再始動」特集。7人の「完全体」で新章へ、世界が注目するカムバックの意味 ―光化門ライブ速報―

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクG、オープンAI追加出資で最大400億

ビジネス

再送-〔アングル〕4月の日本株は波乱含み、「持たざ

ビジネス

アイリスオーヤマ、ライフドリンクC株を大量保有 純

ビジネス

英中銀、窓口貸し出しコスト引き下げ 担保品質に応じ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊張緩和の兆しか
  • 3
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 4
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRAN…
  • 5
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 6
    親の遺産はもう当てにできない? ベビーブーム世代…
  • 7
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 8
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 9
    「予想よりも酷い...」ドラマ版『ハリー・ポッター』…
  • 10
    日本経済にとって、円高/円安はどちらが「お得」な…
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 6
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 7
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 8
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 9
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 10
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中