バスケ界英雄の顔に泥を塗ったアンダーアーマー...激ダサシューズが招いた「史上最大の失敗」
Biggest Sneaker Failure Ever
アンダーアーマーのシューズを履いてプレーするNBAのステフィン・カリー(右) AP/AFLO
<バスケ界の英雄ステフィン・カリーと13年にわたって手を組みながら、アンダーアーマーは彼のラインを「史上最高のブランド」に育てることができなかった。それどころか、嘲笑される激ダサシューズを世に送り出し、カリーの顔に泥を塗った。これは単なる契約終了の話ではない。スニーカー史に刻まれる、最大級の失敗の記録だ>
▼目次
スニーカー文化とは何か
失われた気概と個性
スニーカーの元祖、コンバースの「チャックテイラー・オールスターズ」が世に出たのは103年前。その後の歳月はブランド興亡の歴史だ。
スニーカーが単なる靴だった時代はとっくに過ぎ去った。今やそれは権力と趣味、帰属意識の象徴であり、どこかのブランドが失敗すれば、そのニュースは世界を駆け巡る。
そしてこの2025年11月、私たちは史上最大級の失敗を目の当たりにした。スリーポイント・シュートの名手ステフィン・カリーと米スポーツメーカー大手アンダーアーマーの提携が終了し、13年にわたる熱狂と期待が失望に変わることになった。
数字的には、アンダーアーマーのバスケットシューズ事業(カリーのブランドを含む)の年間売上高はわずか1億~1億2000万ドル。対してナイキのジョーダン・ブランドは50億ドル以上を稼ぎ出す。カリーとマイケル・ジョーダンはそれぞれの時代でバスケ界を代表する選手だが、両ブランドの商品価値には今や天と地ほどの違いがある。
こんなはずではなかった。カリーのシューズはもっと売れてよかった。
筆者にはアンダーアーマーのスニーカーに特別な思い入れがある。伝説の「マイクロGブラッドライン」のシューズを持っているし、おかげで2013年には年間最優秀アスリートを選ぶESPY賞の授賞式にも立ち会えた。
アンダーアーマーがバスケットシューズのラインを発表して以来、私は有名選手の名を冠した限定モデルを片っ端から買い集めてきた。ブランドの歩みを最初から見てきたし、その商品開発の理念を固く信じてもきた。
アンダーアーマーの初期のデザイン哲学は、21世紀初頭の奇抜な「AND1」シューズを彷彿させるものだった。当時のアンダーアーマーにはAND1出身のデザイナーがいたと、私は確信している。
あの厚底でストラップの目立つデザインは当時はとっぴに思えただろうが、厚底全盛の今の時代には完璧にフィットする。皮肉な話だが、アンダーアーマーは意図せずして時代を先取りしていた。しかし肝心な時に腰が引けて、安全策に走ってしまった。





