最新記事
スニーカー

バスケ界英雄の顔に泥を塗ったアンダーアーマー...激ダサシューズが招いた「史上最大の失敗」

Biggest Sneaker Failure Ever

2026年1月13日(火)11時50分
ニック・エングバール (スニーカー評論家)
アンダーアーマーのシューズを履いてプレーするNBAのステフィン・カリー(右) AP/AFLO

アンダーアーマーのシューズを履いてプレーするNBAのステフィン・カリー(右) AP/AFLO

<バスケ界の英雄ステフィン・カリーと13年にわたって手を組みながら、アンダーアーマーは彼のラインを「史上最高のブランド」に育てることができなかった。それどころか、嘲笑される激ダサシューズを世に送り出し、カリーの顔に泥を塗った。これは単なる契約終了の話ではない。スニーカー史に刻まれる、最大級の失敗の記録だ>


▼目次
スニーカー文化とは何か
失われた気概と個性

スニーカーの元祖、コンバースの「チャックテイラー・オールスターズ」が世に出たのは103年前。その後の歳月はブランド興亡の歴史だ。

スニーカーが単なる靴だった時代はとっくに過ぎ去った。今やそれは権力と趣味、帰属意識の象徴であり、どこかのブランドが失敗すれば、そのニュースは世界を駆け巡る。

そしてこの2025年11月、私たちは史上最大級の失敗を目の当たりにした。スリーポイント・シュートの名手ステフィン・カリーと米スポーツメーカー大手アンダーアーマーの提携が終了し、13年にわたる熱狂と期待が失望に変わることになった。

数字的には、アンダーアーマーのバスケットシューズ事業(カリーのブランドを含む)の年間売上高はわずか1億~1億2000万ドル。対してナイキのジョーダン・ブランドは50億ドル以上を稼ぎ出す。カリーとマイケル・ジョーダンはそれぞれの時代でバスケ界を代表する選手だが、両ブランドの商品価値には今や天と地ほどの違いがある。

こんなはずではなかった。カリーのシューズはもっと売れてよかった。

筆者にはアンダーアーマーのスニーカーに特別な思い入れがある。伝説の「マイクロGブラッドライン」のシューズを持っているし、おかげで2013年には年間最優秀アスリートを選ぶESPY賞の授賞式にも立ち会えた。

アンダーアーマーがバスケットシューズのラインを発表して以来、私は有名選手の名を冠した限定モデルを片っ端から買い集めてきた。ブランドの歩みを最初から見てきたし、その商品開発の理念を固く信じてもきた。

アンダーアーマーの初期のデザイン哲学は、21世紀初頭の奇抜な「AND1」シューズを彷彿させるものだった。当時のアンダーアーマーにはAND1出身のデザイナーがいたと、私は確信している。

あの厚底でストラップの目立つデザインは当時はとっぴに思えただろうが、厚底全盛の今の時代には完璧にフィットする。皮肉な話だが、アンダーアーマーは意図せずして時代を先取りしていた。しかし肝心な時に腰が引けて、安全策に走ってしまった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

今年の米成長率3%超の可能性、関税水準7月までに回

ワールド

欧州委員長、ハンガリー次期首相と電話会談 資金拠出

ワールド

中ロ外相、首脳会談やイラン・ウクライナ情勢巡り協議

ビジネス

ウォーシュ次期FRB議長候補、資産1億ドル超 21
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事の新シナリオ
特集:台湾有事の新シナリオ
2026年4月21日号(4/14発売)

地域紛争の「大前提」を変えた米・イラン戦争が台湾侵攻の展開に及ぼす影響をシミュレーション

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍の海上封鎖に中国が抗議、中国タンカーとの衝突リスク高まる
  • 2
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 3
    高さ330メートルの絶景と恐怖 「世界一高い屋外エレベーター」とは
  • 4
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ…
  • 5
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 6
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 7
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 8
    トランプを批判する「アメリカ出身のローマ教皇」レ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 5
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 6
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 7
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 8
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 9
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 10
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中