最新記事
インタビュー

「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍たちのデスゲームに込めた「野心と革新」【独占インタビュー】

The Challenge of “Last Samurai Standing”

2025年12月24日(水)17時23分
折田千鶴子 (映画ライター)

──若い世代と共に挑んだ現場で、いろいろと試して感じたことは?

今の世の中、とりわけ日本では安心、安全が求められる。でも、それだけを大切にする現場では安定感のある作品は作れても、次につながる刺激的で革新的なものは生まれない。その壁をどうぶち破るか、どう闘うかは、僕がエンタメ業界で長年やってきたことでもあります。

自分自身をアップデートするためにも、若い世代と共に革新的な作品を作ることは、「まだやりたい」と思える最後の希望だと思います。

──それに挑戦するために『イクサガミ』は格好の題材だったか。

原作者の今村翔吾さんは数多くの時代小説を書かれていますが、時代ものを今にどう届けていくかに挑戦している、自分と同じようなことを考えている方だなと、勝手にシンパシーを感じてきました。

ほぼ全ての作品を読んでいますが、その中でも『イクサガミ』にはどこか異質なものを感じます。まさに「活劇」というべきエネルギッシュな面白さと自由さがある。これなら堅くなりすぎず、どの世代も楽しめるいいあんばいの時代もの、かつ大人のエンタメが作れる、と思いました。

──大人のエンタメ活劇にするために注力したことは?

ストーリー性とキャラクター性、そして文化をしっかり載せた作品にすることです。侍は「高潔で強い」という硬質なイメージを世界中で持たれている。本作では、侍をデスゲームを通して捉えながら、同時に「暮らし」を入れることにこだわりました。

良質な時代劇には、暮らしがしっかり描き込まれている。本作でも信仰や神楽やお祭り、当時はやった葛飾北斎の「逆さ富士」の画などをどこかで撮ろうと決めていきました。

そんな暮らしの中で、幕末から明治初期に侍がいかに「必要のない存在」になっていくかをちゃんと描けば面白いのではないか、と考えました。

※独占インタビューの【後編】は明日の公開を予定しております。

岡田准一

newsweekjp20251224025456.jpg

PHOTOGRAPH BY MAKOTO ISHIDA FOR NEWSWEEK JAPAN, HAIR & MAKEUP BY AKIKO SOMON, STYLING BY SHINICHI MITA(KIKI INC.), COSTUME BY BERLUTI (BERLUTI INFORMATION DESK: 0120-961-859)

1980年生まれ。95年V6としてCDデビューし、現在は主に俳優として活躍。2002年のドラマ『木更津キャッツアイ』で人気を博し、その後も数々のドラマや映画に出演する。14年にはNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』で主演を務め、15年の日本アカデミー賞では『永遠の0』で最優秀主演男優賞、『蜩ノ記』で最優秀助演男優賞を受賞。来年には『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』が公開予定。


【関連記事】
【独占】高橋一生が「台湾有事」題材のドラマ『零日攻撃』への出演を決めた理由...「日本では作り得ない作品」
■主人公の女性サムライをKōki,が熱演!ハリウッド映画『トルネード』...その「気になる内容」とは?
■なぜ世界中の人が「日本アニメ」にハマるのか?...鬼滅にエヴァ、ジブリに隠された「思想と哲学」

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ハマスが停戦違反と非難、ネタニヤフ首相 報復表明

ビジネス

ナイキ株5%高、アップルCEOが約300万ドル相当

ワールド

ゼレンスキー氏、和平案巡りトランプ氏との会談求める

ワールド

タイ・カンボジア両軍、停戦へ向け協議開始 27日に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 5
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 6
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 7
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    【投資信託】オルカンだけでいいの? 2025年の人気ラ…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中